「アトピーにならない」 01/07/30

今年も蜂に刺されました。座敷の前のサツキの植え込みを刈り込んでいたときのことです。ついでに下草も抜いておこうと手をのばした所に巣があったのです。気づいた時は既 に遅し、左腕の関節を刺された後でした。まだ小さなアシナガ蜂の巣でした。

 ゴキブリをやっつける噴霧器を使って取りましたが、8匹いた蜂のうちの1匹は最後ま で巣から離れず、守っていました。女王蜂になる雌の蜂でしょう。まだ巣は小さく、20 ばかりの幼虫が入った巣穴と、10ばかりの抜け跡がありました。毎日のように巣穴を増 やし、卵を産みつけ、次々と羽化していたのでしょう。

 巣を攻撃している時に右足の太股も刺されました。この刺され方は初体験でした。ズボ ンの裾から中に入った蜂が刺したのですが、ズボンの外から蜂を揉みつぶそうとしたのが 良くなかったのか、あちらこちらに動きながら一匹の蜂が4ヵ所も刺しました。結局、ズ ボンを脱いでやっつけましたが、いったい「蜂の一刺し」とはなんでしょうか。

 毎年のように私は蜂に刺されます。生け垣の剪定やミカンの木の下草刈りなどをしてい る時によく刺されます。妻は耳がよいのか用心深いのか、蜂の警戒音に先に気づき、たい がいは刺される前に退散しています。私は刺されてから気づくのが常です。

 わが家の庭にはスズメ蜂、クマ蜂、日本蜜蜂など何種類もの蜂がいます。ムカデもいま す。アブもいますしブヨや蚊もいます。こうした虫だけでなく、ウルシやハゼの木もあり ますから、植物にも負けることがあります。だけど、決してこうした昆虫や植物を根絶や しにすることはしません。家族以外の人に被害を与えそうな位置に巣があったり、かぶれ る植物が生えていたりしたときは抜いたり取ったりしますが、それ以外はむしろそっとし ています。それが自分たちのために役立っていると考えているからです。

 30年ばかり前から、私は誌紙などを通じて、こうした植物にかぶれたり昆虫の毒にま けて腫れたりすることが体によいのではないかと叫んできました。こうした毒にまけて抗 体をつくることによって体を健康に保てるようだと考えたわけです。思えば私たちの祖先 は、何万年もの間、そうした体験をしながら生きてきたわけです。急にそうした抗体を作 る機会から身を完全に遠ざけてしまったら、何らかの変調をきたして当然ではないか。そ の後、人々が昆虫や土を避けたり恐れたりするにつれて花粉症やアトピーが騒がれるよう になりました。「案の定」とばかりに私はニンマリしたことを覚えています。

 わが家の庭には杉や檜が何10本もありますが、花粉症の被害者はいません。京都の久 多という自然豊かな地に幾度か出掛けて逗留もしましたが、花粉症の人は居ませんでした。 むしろ、都会から嫁いできた方がいつの間にか治ってしまったと語っていました。この時 の体験は『このままでいいんですか もうひとつの生き方を求めて』(平凡社)で触れて います。花粉症も、何らかの毒と抗体の相関関係が明らかになりそうです。

 とにかく、わが家の家族は健康です。この地にきてから父は結核から立ち直り、畳のう えで、家族に見守られながら、享年93歳で、意思表示がしっかりできる状態で息を引き 取っています。母も昨年、享年93歳で、父と同様の死に方をしました。
 いま、私は沐浴剤作りの最中ですが、それは次回にまわします。


多くの見学者が通るイノシシ坂の土手にウルシが、たくさん生えている。茂みに入ったり柵を乗り越えたりしないかぎりウルシや蜂の被害にはあわなくてもいいように配慮しています。私は、草刈りをしていて
マムシに咬まれたことがあります。

庭の南面に面して走る緩やかなスロープ。
イノシシが出没するとここを脱兎のごとく駆け抜けるのでイノシシ坂(イノシシスロープ)と呼んでいる。
ここを駆け抜けるイノシシの親子の情景が天声人語で紹介されたことがある。

ハゼの木の葉の上で羽化したアブラゼミの抜け殻。
こうした昆虫が安心して羽化したりトカゲが脱皮したりするところでよく蜂も巣を作ります。





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