「異常乾燥」 01/08/10

 梅雨があけて1カ月もたたない7月の末ごろから地下水位が下がり始めました。わが家の庭のほぼ中央に、2トンほどの水を蓄える底のない円筒形の水槽があります。通常は年間を通して満杯で、いつもオーバーフローしています。だが、今年は一夜にして水位がマイナス10センチメートルも下がるという異常事態が生じました。7月24日のことです。
妻は、モグラが悪戯でもしたのだろうか、と考えたほどだといいます。

 実は、この水槽の水位は昨年も一度下がっています。初夏、母が6月下旬に他界した後、梅雨明け宣言が出るまでの間に、ジワジワと下がっています。わが家では洗面所などあらゆる水場にポリバケツを備えました。調理場では米の磨ぎ汁や菜っ葉を洗った水を、風呂場では髪をゆすいだ後の水などを溜め、移植したばかりの苗などにやりました。やがて琵琶湖の水位が異常に下がりはじめたと報道されるようになりました。
でも、その後、8月下旬にまとまった雨が降り、ことなきをえました。

 酷かったのは1994年でした。琵琶湖の水位が9月上旬まで下がり続け、過去最低のマイナス1メートル20センチ以下になりました。もちろんわが家では口をゆすいだ水も庭に捨てるようにしました。その時は、水槽の水位はマイナス30センチまで下がっています。
その前は、水槽をつくる以前のことになりますが、琵琶湖の取水制限が史上初の厳
しいものとなったのは1985年です。前年の11月から取水制限が始まっていました。

 年によって水不足の原因は異なりますが、近年は異常が生じるピッチが狭まっているのが気になります。

 この度は、前日まで満杯だったのに急に水位が下がる事態でしたから心配しましたが今はマイナス30センチメートルほどになっています。もちろんその間も水汲みをし、水位を20センチメートル分ぐらいさげていますが、翌朝にはほぼ水位をもどしながら、ジワジワと下がり、マイナス30センチメートルほどになっているわけです。

 この度の原因は、もちろん雨不足が第一でしょうが、雨の降り方にも問題があったようです。シトシトと2〜3日にわたって降り続くような雨が少なくなり、スコールのようにドカッと降ってカラッと晴れ上がるような雨でしたから。それでは、表面が乾燥した土地に降っても、台地にしみ込まずに大部分は流れ去ってしまいます。だから、総雨量では十分な量でも安心はできません。土中に水分を蓄えていない恐れがあります。

 わが家の3000平方メートルの庭に、10ミリの雨が降ると、土は30トンの水を蓄えたことになります。シトシトと100ミリの雨が降れば300トンです。つねにタップリと水を蓄え、ヒートアイランにしたくないものです。それは、舗装をして流し去らないようにするのが第一です。

 さて、これから水位はどうなるのでしょうか。1994年の時は、京都市内では街路樹の下のサツキなどの植え込みをずいぶん枯らしましたが、わが家の庭の1000本余りの木は枯らさずに済みました。市内のサツキを枯らしたのは人災だと思います。あるいは政治の指導力不足でしょう。近隣の住人が、米の磨ぎ汁や洗面の水を捨てずに取り置き、根元にやるだけで救えたことでしょう。もちろん風呂の残り湯までまけば枯らすことはないでしょう。それは木の為だけではありません。土中に水分を蓄え、ヒートアイランになるのを緩和するはずです。せめて親水性の舗装にしたいものです。


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