「冬野菜の種まき」01/09/11

 妻の朝は、晴れの日も雨の日も先ず畑に出て、朝食用の野菜の収穫から始まります。今頃は、毎朝のように「ネバネバ四君子」と呼ぶ惣菜を用意します。オクラと花オクラ、そしてサッと湯掻いたモロヘイヤの3者を細かく刻み、納豆を加えてかき混ぜて作ります。花オクラは、黄色い大きな花びらを食べる野菜で、エディブルフラワーの代表的存在でしょう。晩夏の今は、他にニラ、ゴーヤ(ニガウリ)、ツルムラサキがシーズンです。長トウガライもまだ美味しいし、近くカボチャ、アンデスポテト、サツマイモ、ゴボウなどが採れます。今年は、ジャガイモや人参は不作、コイモは水不足で惨めでした。

8月の末から9月にかけて、わが家では冬野菜の種まきをします。今年は、ダイコン、水菜、ヒノナ、カブ、シュンギク、コマツナ、人参、ホウレンソウなどをまきました。もし種が手に入れば壬生菜やスグキもまきたい。ブロッコリーやネギ、葉ニンニクや沖縄のラッキョウはすでに苗を植えつけました。

 種まきの前に、まず畝作りをしなければなりませんが、土の湿り具合を見計らいながら耕します。耕してよい畝の上に、妻が堆肥を一輪車で運び、畝の長さ3メートル当たりに一輪車一杯分ほどをまいてゆきます。その上に私が適度に木灰をまき、堆肥と灰を鋤き込むようにして耕すわけです。耕してよい畝とは、それまで作っていたトーモロコシや三度豆など夏野菜の収穫が終わった後の畝のなかで、エンドウ豆の種をまくところを除いた部分を意味しています。エンドウは11月に種をまきますが、イヤ地といって連作を嫌いますから、連作にならない部分をエンドウのために優先して残しておかなければいけないのです。ホウレンソウは酸性土壌を嫌いますから、多めに堆肥と灰を入れるだけでなく石灰もすきこみました。

 わが家には堆肥の山が幾つもあります。主として生ゴミを堆肥にする山、落ち葉だけを堆肥にする腐葉土の山、そして木を腐らせて堆肥にする山などがあります。生ゴミを堆肥にする山は、収穫の終わった後のトマトや三度豆などのくずや刈った草などを井桁に積みあげ、その真ん中に生ゴミを放りこんでいる山のことです。

 わが家での畝作りは備中鍬とスコップ、時にはブチキリも使って耕します。かつては家庭菜園用の耕運機を買い、使ったことがありますが、すぐに使わなくなりました。多品種超少量生産には向きませんし、わが家流の有機栽培には向きません。わが家の畑には、野草がたくさん生えており、耕運機で耕そうものならジュウヤクやヒルガオなどの地下茎を細切れにして鋤き込むようなことになります。短い根からでも立派に芽を出しますから、まるで繁殖のお手伝いをしているようなことになります。

 我が家の庭は、虫の餌になる野草、野菜を好む虫の天敵を呼ぶ野草や花、そして私たち人間の好む野菜などが棲み分けています。だから畝を耕すときも草取りをしながら耕すことになります。とった草や根を分別して処分するわけです。堆肥にする草は堆肥の山に、増えては困るものは深く掘った穴に捨てます。ジュウヤク(ドクダミ)、ヒルガオ、スギナ、ヤブガラシ(貧乏蔓)などの地下茎は堆肥の山に捨てたのでは腐らず、繁殖させるようなことになってしまいます。種をつけたネコジャラシなどの野草も穴に捨てます。種は腐りにくいものですから堆肥の山に捨てるわけにはいきません。

今年は冬野菜の準備を少し急ぎました。それはバンクーバーとサンフランシスコを
訪ねる北米出張の予定が入っていたためです。


手前の畝には、三種類の種をまいています。一番手前は、日の菜、中央は、春菊、向こう側は、小松菜。小松菜の向こう側に見える背の高いのは宿根のコンフリーです。
向こう側の畝の手前の苗は、ブロッコリー、その向こうの苗は、二十日大根です。その奥にアンデスポテトが茂っています。
我が家では、一つの畝にこのように複数の種をまいたり苗を植えたりしています。こうした試みから仲の良い関係や虫の被害を減らす関係を学びます。
ブロッコリーはよく目立つのか小鳥が葉を食べによくきます。そのついでにそばの野菜の虫も食べてゆきます。
畝づくりに用いる道具。
一番手前はブチキリ、本来木の根などが多い荒れ地の開墾に使います。次は鍬と種をまく溝きり鍬。その次が備中鍬。まずこの備中鍬で畝を耕し鍬で整えます。
深い根が(ゴボウなど)あったときは、スコップで掘り出し、笹の根などが入っていた時は、ブチキリで取り除いたりします。



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