華宇宙 02/03/10

 気にかけていた柿の木と槇(まき)の木を剪定しました。なにせ昨年は剪定できなかったのですから気になっていたのです。槇の切り取った枝は大きな袋に2杯もありました。柿の枝と一緒に燃やし、灰にして庭に返します。庭では今、赤紫色のエゾヤマツツジ、ピンクのアセビ、黄色いサンシユ、朱色や黄色のミツマタが咲き始めています。マンサクやサザンカの花は終わりました。椿や梅は盛りです。

 草花では、水仙やクロッカスが次々と咲く季節です。自生のサクラソウが花芽をもち上げたかと思う間もなく咲き始めました。スノードロップは終盤です。アマナや茶花のバイモユリが元気に芽を出しました。まもなく花をつけることでしょう。アマナは野生チューリプの一種で、山菜です。カンゾウの芽が出ました。フキノトウは終盤です。この春は、カンゾウはヌタに、フキノトウはフキミソにして食べました。春は苦みのある山菜が多いので楽しみです。苦みは究極の美味、甘味の対極に位置するように私は思っています。アケビの芽もふくらんでいます。今年はアケビの新芽を妻はどのように調理するのかなあ、と考えています。

 少し畑仕事もしました。最後に残っていたヤーコンを掘り出し、二十日大根のあとを耕し、一緒に畝に仕立てました。どちらかの畝に時なしの野菜の種をまこうと思います。できれば、なるべく早くホースラディシュの株分けもしたい。三度豆(インゲンマメ)の種もポットに蒔きたいと思っています。これから大根、白菜、小松菜、カブラ、水菜とさまざまな野菜の花芽を満喫する季節です。おひたし、水炊き、炒めもの、かやくご飯の飾り、汁物の実などに使います。もちろん菜の花も咲かせたい。でも、耕して夏野菜の畝も用意しなければなりません。悩まされる季節です。

 近隣に土人形を作っている家があります。その奥さんに「ここに持って来といたらいつでも見られるから」といって『オドリコソウ』の株をもらいました。「散歩でいつも群生地の側を通ってますから、楽しんでたのに」と、悲しそうです。住宅地開発という破壊が始まったというわけです。「去年いただいたヨメナは元気にしていますよ」と礼を述べて元気づけました。元気づけながら、この奥さんと交わした昨年の会話を思い出しました。「どんなところに植えたらいいでしょうか」と相談を持ちかけると、「どこに植えても大丈夫と違いますか。なにせヨメナ(嫁菜)ですから」との返事がかえっていました。この人は、嫁は強いもの、と思い込んでいるのでしょうか。とてものびやかで魅力的な婦人ですから、妻も彼女の大ファンです。

 4月からとても嬉しい連載が始まります。妻が庭で人形を撮った写真と、私が庭を題材にしてつくった文章の合作で、「華宇宙」というシリーズです。夫婦で合作の連載は初めてですから緊張しています。連載されるのは『嵯峨』という月刊誌で、私は3月まで「環境・アイトワ」というシリーズの連載をさせてもらっていました。それもこれも、大覚寺まで歩いて行ける所に我が家があったおかげだと思っています。我が国最初の門跡寺院で、嵯峨御所と呼ばれています。かつて南北朝が争った時に講和をしたのもこのお寺の一室です。確か『モナリザ』が来たときの返礼は大覚寺の襖絵で、国宝の『紅梅図』がパリに送られ、展覧されています。『嵯峨』は、嵯峨天皇を心の流祖とする華道『嵯峨御流』の機関誌です。大覚寺が発祥の嵯峨御流は、伝統の『伝承花』に加えて『心粧華』という新しい華道を切り開きつつあります。                                                                                      



マキの剪定で出た枝と左側は柿の剪定で出た枝です。少し乾かしてから焚き火をし、灰は畑に撒きます。このたき火の時に喫茶店で出たコーヒーのフィルターも一緒に燃やします。大部分の有機物は堆肥か灰にして土に戻します。


黄色いサンシユの花が咲きました。手前に白い梅の花が見えます。その間にある白い岩のようなものは寒冷紗をかぶった温州ミカンです。この左のほうに枝垂れ桜や枝垂れの紅梅があり、愛犬金太の小屋があります。

妻の朝の日課は、まず野菜の収穫です。本日は白菜の花芽をお浸しにしました。この写真は収穫したばかりの霜をかぶった白菜の花芽です。


カンゾウは、蛸と一緒にヌタになりました。フキノトウは、味噌とミリンであえてフキ味噌を作りました。久しぶりに漬けたスグキですがかなりうまく発酵しました。この季節は私はフキ味噌やスグキの漬け物で、味噌汁をぶっかけたゴハンを食べるのが大好きです。

金太の小屋の側でムラサキハナナの花が咲き始めました。中国では諸葛菜と呼ばれているアブラナ科の十字花植物です。やがて庭は紫色に彩られます。側でセロリが大きくなっています。そのうち葉をもいでサラダにして食べようと思っています。

黄色い花を付ける一般的なミツマタです。枝という枝がみつまたに分かれます。我が国の和紙の原料として良く知られています。赤い花の咲くミツマタも一本だけ有ります。我が家にはもう一つの和紙の原料コウゾが自生しています。(円内は赤いミツマタの花です)
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