かわいそうな牛さん　　02/04/08
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　雨は降るのか降らないのか、こんなにやきもきしたことは久しぶりです。３月２７日木曜日の朝のことでした。翌日、大垣の人を京都に大勢お昼にお迎えすることになっており、メインの食材を豆腐と牛肉と決めていたからです。湯豆腐の後で、雨なら室内でシャブシャブを、晴れたら庭でバーベキューをと決めながら、前日の朝だというのに天候が読み切れなかったからです。やむなく昼に電話で相談することにしました。

　実は、かつて私は大垣市の「環境基本計画策定委員会」の委員長を引き受け、「暮らしを変えて、未来に夢を！」というスローガンや実施策を策定しました。その関係で、「大垣市環境市民会議」という市民団体の会長までおおせつかってしまいました。こうした一連の活動を通して知り合い、市民会議の会員となられた方々をわが家にお迎えすることになったわけです。その幹部のお一人がハム会社の役員で、牛肉の売れ行き不審のご時世ですから、なんとしてもメインに牛肉料理を加えたかったのです。

　昼、天気予報では「西からくずれ、京都は昼から雨」でした。ちょうどその時、妻から大垣の学校に電話があり「今はよく晴れている」と京都の様子を知らせてきました。その雲行きから二人は翌日の２時頃まではもつだろうと判断し、庭でバーベキューをすることに決めました。そしてハム会社の友人に電話を入れ、「昼までは天気はもちそうだからバーベキュー用の肉を」と頼み、一分でも早く着くようにお願いしました。翌朝、一緒にバスに肉を積み込み、ご一行に持参してもらうわけです。その日、私は早めに帰宅し、翌朝の作業がはかどるように７つ道具などを揃えて寝ました。

　当日、一面の薄雲の下、早朝からヒメジオンの収穫や竹を５本切り、枝をはらうことから作業に入りました。クヌギ林の立木を２本選び、高いところに一本の竹を横に渡しました。雨になれば大きなシートを張って炉を雨から守り、肉が焼けるようにしたわけです。次に、３本の竹で鍋を吊るす櫓を組んだり酒の燗をする竹の徳利を作りしました。そして９時から薪をくべ、大きな鉄鍋の湯を温めはじめました。一行が到着次第湯豆腐を始めるためです。妻は、予定の焼きおにぎりを中止し、稲荷寿司に変更しました。２時まで持たないかもしれないと見たわけです。結局、ご一行は予定より遅れて１２時にご到着。だが、天気は３時過ぎまでもちハッピーエンド。ハラハラしただけ大損でした。

　豆腐と庭のミツバをたっぷり使った湯豆腐を、庭のダイダイを絞ったタレでスタート、好評でした。カンゾウのヌタやヒメジオンのオヒタシも平らげてもらえました。肉は塩胡椒で、輸入肉、国産のホルスタイン、国産の銘柄モノと霜降り肉を食べ比べました。野菜は庭でシイタケをとり、ピーマンやジャガイモなどと一緒に焼きました。お稲荷さんと豚汁も好評でした。その頃になって雨が降り始めましたが、昼食は無事に終わりました。皆さんはめいめい庭を散策されましたが循環の構造は知り得なかったはずです。

　それはともかく、さまざまな肉を食べ比べながら、牛肉問題のことに少し思いを馳せました。安全な輸入肉を危険性がある国産肉と偽って焼却したのが発端でした。外国の広々した牧場で安くて良い飼料を食べた国産肉よりずっと健康的な霜降り肉もあることでしょう。それにどうして日本の産地モノと表示するのか。洋服なら逆に、日本で作ったモノに舶来モノのブランドを着けたがるのに、と考えたわけです。一番かわいそうなのは牛さんです。わが家では、事件のあとから牛肉をよく食べるようになっています。

	焼きおにぎりと朴葉味噌を計画していましたが雨が降ればいけないので急遽妻は稲荷寿司に変更しました。庭でとれたツクシなどでキツネの顔にでも見せたいのでしょうか。お味の方は皆さんに気に入っていただけたようです。
とどめは豚汁でした。左の竹の筒でお酒の燗をしています。去年の初夏に出た筍から育った新しい竹を朝に切りましたから燗酒の味も香りも新鮮でした。このパーティーではお酒を飲む方が少なかったのでビールと共に半分以上が残りました。困ったなぁ?
	無事、湯豆腐コースや焼き肉コースを終え、満腹感を味わう方や庭の散策に出た方で一段落したパーティー会場です。
パーティー会場の外は菜園です。菜の花の盛りをごらん頂きました。キーウイフルーツの棚でも新芽が出始めています。奥に見えている山が嵐山です。右手にパーティー会場がありその奥が小倉山です。
	ちょうどラズベリーが白い花を付ける季節となっていました。他の場所にあるブルーベリーはまだ蕾です。ブラックベリーは虫が入ってしまいました。随を食べるテッポウムシにやられると枯れてしまいます。でもたぶん株から新芽が出ることでしょう。