身土不二 02/04/16
岐阜のグランドホテルで、地域の社長さん方を対象に、身土不二という題で話をさせてもらいました。この言葉を知らない人が多かったようで、驚きました。この生き方や考え方を尊重してきた私は、この文字をあちこちで目にしてきましたが、大勢の方が気づいていなかった。何事も関心がないと目にも耳にも入らないものでしょうか。
短絡にいえば、住んでいる土地と身体は一体だ、といった考え方です。野生動物はおおむね身土不二です。縄張りの中で食料や水などを手に入れています。死ねばその土にかえり、養分となって植物を育て、その植物を子や孫が食べます。わが家の庭に来る渡り鳥も同じ鳥が来ているようで、「今年は京都で、来年は奈良に」といった観光やグルメ気分ではないようです。もちろん人間も元来は身土不二でしょう。アフリカに誕生した人間がアメリカ大陸まで移動しましたが、その間に1万年とか2万年といった時の経過があった。歩いて移動しながらそれぞれの地を第二の故郷にして適応していったのでしょう。
「水が合う」とか「合わない」といった言葉は、身土不二の考え方に則しています。水にはミネラルや微生物などいろんなものが混じっています。空気にも、植物が出すフィトンチッドや蝶や蛾が出す性フェロモンなどさまざまなものが含まれています。それらが体に合うかどうかの問題です。森林浴ではフィトンチッドを吸収できるので体に良いといわれますが、フィトンチッドは植物が害虫などから身を守るために出す毒物です。その毒を希釈すれば薬になるのか。植物はフィトンチッドの他に、取りつかれた害虫の天敵を呼び寄せる物質を放出することも発見されています。それが良いのか。他にもさまざまな物質を出していますが、それらが適度に混ざり合っているからよいのか。分かっていることは私達の体はそれらのさまざまなモノを取り入れながら進化してきたという事実です。
昨今、アレルギーはもとよりイジメとかキレルなどの心身異常の話をよく聞きます。そのつど私は身土不二を思い出します。私は身土不二の大切さを体で覚えました。体調は摂取する微量元素の過不足で変わりますが、神経も当然影響を受けるに違いないと思うようになっています。だから、何日か家を空けた後で帰宅すると思わず深呼吸をしています。 そして妻に地の野菜を大量に食べさせてもらい、風呂には庭の薬草で作った沐浴剤を入れてもらってゆったりと浸かり、心身をリフレッシュしています。これが私の心身のバランスをうまく保たせてくれているに違いない、と思っているからです。
医食同源という言葉もあります。近年は逆に、水や食べ物にいろんな化学物質や添加物あるいは抗生物質などが混じっており心配です。また昨今の日本人ほど身土不二とかけ離れた生活をしている人間は世界でも珍しいでしょう。食料の過半は輸入です。だから平均寿命は伸びているのに寝たきりや延命装置の世話になる人が後を絶たないのではないかと心配です。治療よりも予防を尊重し、気の毒な人を増やさないようにしたいものです。アメリカでは国として予防に力を入れ、百歳以上の人を日本の数倍にしながら寝たきりは数分の1にしています。我が国は逆に、この数十年で糖尿病も数十倍に増やしています。
おかげさまで、我が家では、妻は医者知らずです。両親は共に享年93歳で、共に自分の布団の上で、私たち家族に見取られて他界しました。最後まで意識はシッカリしていましたし、私たち後の者の都合を考えたかのような日取りや日時に息を引き取っています。私も病気で勤めを休むようなこともなく過ごしてきました。
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庭で採ったワラビを使った煮物です。今年は二回食べました。かつてワラビには、発ガン物質が入っていると言われたことがあります。我が家では毎年一二度は食べます。私たちの体は毎年少しはワラビを食べてきたように思います。
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これは、我が家の畑で採れた二年越しのニンジンです。同じ時に撒いた種から様々なニンジンができます。とても香りが強く身が締まっています。土地の養分をしっかりと吸い取ったような印象を受けます。 |
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テーブルに飾っている花です。イタリアンセロリは今食べる季節です。大根・日野菜・水菜の花は花芽を取り残した分です。ブロッコリーは食べ残しが咲きました。諸葛菜は今が盛りです。わすれな草は庭で自生しており花が小さくなっています。ヒメオドリコソウやホトケノザは自生です。この中で我が家では食べないものはワスレナグサと諸葛菜です。
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朝取りの野菜を朝食でたっぷり食べます。掻きチシャは今一番美味しい頃です。庭で採るニンジンやニラは、とりわけ香りが強く歯ごたえがあります。ピーマンは庭で作ったものではありません。蕗味噌は庭のフキノトウと自家製の味噌で作りました。
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我が家の沐浴剤です。ふたを開けると豊かな香りが漂います。同時に白い煙のようなものがたなびきます。この沐浴剤を使うときは、湯を半分残して新しい湯をつぎ足し2〜3日使うようにしています。香りだけでなく肌にしみいるようなまろやかさは格別です。 |
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