刈り込みの季節 02/07/08
6月29日金曜日、昼下がりに帰宅できた私は、お茶の後すぐに庭に出ました。ツツジやサツキの刈り込みのシーズンに入っていたからです。母が生きていた時のように「お母さんのところから始めましょ」と妻が急かしましたので、母屋周りから始めました。父が生前、毎日のように寝椅子から眺めていた縁先の中央にある円盤状のツツジが手始めです。今回は直径が2・5メートルほどあるその円盤の一面を大きく刈り込み、十三夜の月のようにしました。年々植え込みが大きくなり通路を狭めていたからです。母屋周りには小さなツツジまでいれると刈り込みを要する植え込みが30株ほどあります。もちろん同時に庭の小道の草抜きなどもしましたからアッという間に日が傾きました。
二人が家に入ると7時半を過ぎていました。夕食の準備は、私が溜まっていた郵便物や新聞などの仕分けをしている間にできました。捨ててよいDMや折り込み広告、手紙、後で読みたい記事のある新聞のペイジなどと仕分けます。郵便物や小荷物の中に、また楽しい贈り物が混じっていました。先週は生まれて初めて貰った父の日のプレゼントに感激しましたが、今週は東京の友人の手配で届けられた九州・島原湾のイリコです。
夕食の後、イリコに着いていた手紙は後にまわし、他の郵便物や選びだした新聞記事などに目を通しました。風呂の後、妻が上がってくるのを待ちながら、おもむろにイリコの手紙を読みました。イリコも資源枯渇が深刻で漁獲はわずか1回だとか。なぜかその時、父の日の絵とカステラに添えられていた手紙を思い出しました。「まさ子は、今の世界が余りに酷であるが故に絶望しておりますと同時に、しっかりと見つめながら、キレイな永遠の国を夢見るのです」とありました。妻の知人のお嬢さんからの手紙です。
妻が風呂から上がってきましたので早速イリコを少しあぶってもらい、温燗の酒を傾けました。イリコの手紙を妻にも読んでもらいますと、読みながら「お母さんの好物でしたね」と呟くものですから、少し過去を振り返りました。私は、両親に対して、生きていた間に「ああしてあげておけばよかった」といったようなことはないのですが、こうした好物なら幾度でも一緒に食べたいものです。
翌土曜日の朝は早起きし、2度目のインゲンマメ(三度豆)と3度目のキュウリの苗を植える畝をつくりました。午後から雨と聞いていたからです。妻がまいたポットの苗がしっかりと育っています。妻は竹の落葉掃除をしていました。雨に濡れると始末におえなくなるからです。共にきつい仕事でしたが、10時のお茶の時間に、まさ子さんのカステラでリフレッシュしました。午後は予報通りに雨。私は訳あって温室の掃除です。
夜は何葉かの絵ハガキを認めました。まさ子さんには「私も今の世は余りにも酷だし間違っていると思っています。いつか破綻するでしょう。だが、私は絶望はしていません。だから、庭を開放したり、まさ子さんのような方に展示室を使っていただいたりしているのです。このハガキは友人の絵です」と締め括りました。彼女はかつて、アイトワで個展を開いています。時々アイトワは個展会場になりますが、彼女もその一人です。20世紀は武力戦争や経済戦争の世紀で、人々の欲望を解放しましたが、21世紀は芸術や観光などの世紀にして人間を解放したい、と私たち夫婦も考えているからです。日曜日は友人がご母堂を案内して来てくれます。月曜は、午前は数年ぶりの友の来訪、午後は雑誌の取材です。両日とも雨との予報。
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私たちの客間の前、中庭にも円盤状に刈り込んだツツジの植え込みが2つあります。40年近くの歳月をかけて育てましたが、背が少し高くなりすぎました。来年の刈り込みの時は少し低くするでしょう。側に植えた木蓮や沙羅やコブシの木が大きくなってきました。あと20年や30年生きても、自分たちだけで手入れができるでしょう。日陰になったツツジは小さな手鋏1つで刈り込めるはずですから。
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カボチャは期待通りに竹の棚にはい上がりました。この斜めの棚の竹の支柱はキウイ棚にかけてありますから、カボチャは蔓をキウイ棚の上までのばすことでしょう。キウイ棚の下にはわが家の長兄、ケンの小屋があります。ケンは夏の日陰を好み、冬は日向ぼっこが大好きです。もちろんキウイは落葉し、冬は日光を通します。 |
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大賀ハスの葉はこんなに立派に茂りましたが、まだ花芽を立てておりません。この夏はなぜかアガパンサスが咲きませんでした。大賀ハスもお休みでしょうか。もしそうだとすると、鉢の土替えを1年間割愛したことと関係があるかもしれません。
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ヤムイモがこんなに元気に育っています。葉の様子からすれば自然薯(じねんじょ=山芋)の親戚のようですが、芋がどのように入るのか分かりせんから掘り出す秋が楽しみです。自然薯のように縦に伸びるのか、それとも横に伸びるのか。縦に伸びるとすれば掘り出すのが大変でしょう。横に伸びるとすれば、注意して掘らないとスコップで芋を傷つける恐れがあります。 |
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かつて友人のご母堂お手植えの鉢植えの観音竹を戴いたのですが、温室で株分けをしてもらいました。ご母堂によれば、これまでの株分けでは「ときどき枯らしましたんや」とのことでしたが、今回はうまくゆくはずです。大胆に根を切り取り、水で根を洗っておられました。これで私にも株分けの要領が理解できました。
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