志やいかに 02/07/14
中庭の円盤状のツツジを刈り込む時に、側にあるカナメの手入れもしました。直径1・5メートル程の饅頭のような型をした植え込みでしたが、鋸を使ってその上半分を切り取りました。このカナメは、30年ほどかけて苗木から丸く樹勢を整えたのですが、少し嵩高になり過ぎました。そこで、背丈を詰め、これから4〜5年かけて背の低い円盤状の植え込みに仕立て直し、中庭に広がり感を取り戻そうというわけです。
先週の取材は『クーヨン』という雑誌で、「スロー」をテーマにした取材でした。なぜ私たち夫婦が取材の対象にしてもらえたのか。と言うのは、私たちの日々は結構多忙でスローだとは思っていないからです。でも、この取材がスローフード・ブームの一貫だとすると思い当たるフシがあります。まず第一に私はアンチ・ファーストフードだし、その意識が30年も40年もかけてアイトワの庭を小まめに作らたからです。その志に目を向けてもらえたのなら感激です。スローフードは、マクドナルドがイタリアに進出した時にローマのレストランが始めた運動で、当時の私は喝采を送っています。それは、80年代半ばのことでしたが、その運動に私好みの志を見出したように思ったからです。個性や独自性、土地柄、多様性や総合性、そして想像と創造を尊重する生き方です。
ファーストフードと同様に、私はテーマパークの日本進出にも疑問を感じています。日本には生活文化が培った独自のテーマパークが沢山あるように思ったからです。京都や白川郷などは世界に誇るべき文化遺産で、いわば複製の余地がない有機的なテーマパークではないでしょうか。かつての私は海外出張の多い仕事で、幾多のテーマパークを訪ねましたが、その時に日本を見直し、日本の文化遺産に対する誇りを高めています。ところが日本は、古の志とも言うべき文化遺産を次々と破壊し、外国の街並みを複製するテーマパークまで作りました。心ある人の目には、スローフードレストランを打ち出したローマ方式のほうが魅力的に写るのではないでしょうか。21世紀は観光の世紀と言われますが、日本の観光収支はお先真っ暗ではないかと思います。
こんなことを考えながらカナメの剪定をしている時に、友人が訪ねてきて「USJに弁当持参で行こうかな」と言いだしたのです。多分、USJが品質保持期間が切れた冷凍食品などを改ざんしながら長きにわたって園内の直営ファーストフード店などで使い、来園者にいやおうなく食べさせていたからでしょう。今なら日本の誇るべき文化「お弁当」の園内持ち込みを認めてもらえるはず、と思ったようです。USJは3月に、テーマパークとしては来園者1千万人突破世界最速記録を作りました。7月7日にはTDLがこれを31日も縮める307日で記録更新です。他方、パリ郊外のユーロディズニーランドではそのような記録を作っていませんが、フランス文化のワイン飲酒などを解禁し、飲食物の持ち込みも認めています。私たちはTDLやUSJに大記録を作らせながら食べ物の園内持ち込みを禁じられています。せめて日本の誇るべき文化、手作りの弁当ぐらいは認めてほしい、と友人は訴えたいようでした。
実は、この友人の御母堂に先週は観音竹の株分けをしてもったのですが、どうやら無事に両方とも活着したようです。ところで『クーヨン』はどのようにスローを特集し、どのようにアイトワの庭や生き方を取り上げてくれるのでしょうか。とてもしっかりした内容の賢い人が愛読者のように思える雑誌ですから興味津々です。
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この写真は妻と共著の『庭宇宙』で妻が撮影し、採用したものです。この花桃の後ろにある丸い植え込みがカナメです。この写真より一回り大きくなっていましたので、その上半分を切り取って背丈を低く仕立て直し、中庭に元の広がり感を与えようというわけです。
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二度目の三度豆(インゲンマメ)が竹の手(支柱)に蔓をからめはじめています。後方の背丈の高い方が最初のインゲンマメです。今年は三度目の種をまいて収穫することになるのか、それともこの2度目を収穫するだけで終わるのかはまだ分かりません。
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このキュウリは3回目の苗です。この苗が大きくなり、収穫が終わる頃になると秋が近くなっていることでしょう。私は食べものに関して、何処でどの様に作られたものかにも強い関心を持っています。それは、私自身が「何処から来て、何処へ行こうとしているのか」ということに関心があることと関係があるのかもしれません。
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九州・島原湾のイリコを、妻が手前味噌と一緒に煎ってくれました。庭で取れたキュウリの朝漬けと温御飯を食べるときに、その煎ったイリコを少し口にふくんで噛みしめますと、思わず「これは美味しい」とにんまりしてしまいます。イリコを送ってもらった友人に少し手前味噌を分けようかな。
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中国奥地の少数民族が育てていたトウモロコシの種が、こんなに大きく育っています。台風に当たらなければ、きっとよい実がなることでしょう。こればかりはもぎたてをすぐに焼くなり蒸すなりして食べないと値打ちがありません。冷たいビールとよく合うのだから。それは盛夏の楽しみの一つです。
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