松の剪定  02/08/04                                         
  

 やっと夏休みに入りました。この3週間、学生への課題だしやテストも大変だったし、庭の手入れも大忙しでした。庭で妻がゼニガメを見つけ、秋まで飼うことにしました。多分、コジュケイに見つかっても餌にされてしまうでしょう。私は中ぐらいの亀を見つけましたが、逃がしてやりました。今年も友人から鰻の蒲焼が届けられ、土用に食べて心まで元気にしました。南アルプスに妻と二人で招かれ、行ってきました。

 台風の風による被害はなく、トウモロコシも無事でしたが、雨の被害がありました。せっかく立派に育ちかけていたカキチシャが根腐れ寸前となり、下の方の腐った葉を取り去り、風通しをよくして立て直しています。2年前に手に入れたアメリカ・インディアンのバンドエイドも根腐れ状態一歩手前となりました。サンランシスコ北方のウクアイアで手に入れた多年草で、切り傷や擦り傷に葉を張りつけておけばよく治ると聞きました。

 これまでカキチシャを作っていた畝を耕し、その後にわが家では初めて試みるネギの球根を植え着けました。昨年、妻の友人からもらった小降りのネギですが、ぬたや鍋物の薬味につかうとあまりにも美味しかったので根っこの部分を残し、畑の畝の肩に植えておきました。ワケギのような球根が沢山できていましたので、その球根を植えつけたわけです。秋口から冬にかけてたっぷりと食べられそうです。

 苗箱に落とさせた桜草の種が、無数の芽をだしました。1本づつに分けてポットに植え替えました。4年ほど前までは幾度も苗をもらって育て、種を落とさせたのですが発芽せず、わが家の土に合わないのだろうと思っていましたが、昨年から放っておいても自然生えし自生種のようになりました。ピンクと白があるのですが、苗の状態では見分けがつかず、白い方がだんだん数を減らしています。

 ヤーコンの畝の草抜きも大変でした。ウコンの球根も植えてあったのですが、草の陰になっていたので貧相です。これからたっぷりと日を浴びるでしょうが、うまく立ち直るのでしょうか。ジャガイモは、日照りが三日続くのを待って掘り出しました。雨の日やその直後に掘り出すと腐りよいからです。

 わが家には3種類のベンケイソウがあります。砂漠系の植物で、形態学者でもあったゲーテが最後に愛しただそうです。学術名よりも、別名のメキシカンハットが有名です。メキシカンハットのソンブレロのように、葉の縁に無性芽を鈴のようにぶら下げ、地に落として増えます。水を絶ちますと無性芽を作らずに葉の水分で花芽を立て、花を咲かせて種を結び、地に落として雨が降るのを気長に待たせます。一種はイギリスのスラゼンジャー社から持ち帰りました。ウィンブルドンのセンターコートで用いる公式ボールで有名な会社ですが、秘書の部屋に鉢植えがありました。一種はハイブリッドソーラー・システムの会社の社長さんの家に招かれ、庭で見かけ、一芽もらいました。最後の一種は、岐阜大学でのスピーチに招いていただいた教授の部屋で見つけ、苗をもらって帰りました。

 この3週間で最も苦労したのは松の手入れです。わが家の庭で一番手のかかる木です。入れを1年飛ばしましたので95%以上の葉を取り除く作業になりました。脚立を立てにくい傾斜地に生えていますし、側にある枝垂れ梅や桃の木も大きくなりましたので手入れは大変でした。とても炎天下ではできませんので、早朝にしました。朝食を遅らし、6時頃から8時前までの約2時間を4回当てました。

       


詩人のゲーテは恋多き人でしたが、生涯最後の恋人に詩を添えてベンケイソウを贈っています。イギリスから持ちかえった左の鉢が、一番古くから住み着いています。もちろん20年来毎年のように無性芽から出直させています。といっても温室で自生させているのですが。新参者は岐阜大学から昨年の晩秋に来た中央の品種です。今一度注意を払って育てているのですが、いずれは水をたって3種に花を咲かせ、混血を試みたいと思っているからです。
アメリカ・インディアンのバンドエイドは、フェツアーというワイナリーの実験農園からもらって帰った植物です。フェツアーは、オーガニックワインを組織的に作れるようにしたことで知られるワイナリーで、『ボンテラー』(良い地球)のブランドで売り出しています。樽材の樫の木も育てているワイナリーでは世界で4社の一社で、私は4度訪ねています。実験農園では様々な食材になる野菜や果物などを育てており、望ましき食の研究をしています。そこに適度なワインが加わるわけです。

ヤーコンは次第に世間で知られるようになってきましたが、わが家では随分昔から育てている自慢の根菜の一種です。別名はアンデスポテトで、アンデス原産だと聞きます。ダリヤのような球根がとれますが、甘味があり、サラダにも使えます。葉や茎は薬草として使われ、薬湯材として売っている薬局もあります。ダリヤと違って、球根や葉あるいは茎とは別に、茎の根元に無性芽ができます。

この赤松の樹齢は40年近いでしょう。庭に自然生えしたものですが、一番時間をかけて手入れをしている木です。といっても生涯を通して、2か月ほど時間を割くだけのことにすぎませんが、この存在はいわば庭における私のアイデンティティの象徴のような気がします。私が死ねば、妻はどう扱うでしょうか。かなうものなら、この木を切って、私を荼毘にふしたいのではないでしょうか。それとも庭師に手入れを頼んで、維持するかな。

ゼニガメは台所の出窓で妻に世話をされており、毎日イリコを一匹食べて元気にしています。イリコは、はらわたまでついていますから完全食品だし、塩分がとても少ないので淡水性の亀にとっては好ましいはず、と妻は考えています。石は、甲羅干しができるように私がいれました。秋になれば庭に放してあげましょう。

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