体験ゼミ 02/09/02
教え子がわが家で2泊3日の体験ゼミを終え、帰ってゆきました。「ライフルタイル論」や「環境論」という私の講座を受講している学生から希望者を募りました。2年生は希望と日程が合わず、7人の1年生が、学校の行事としてではなく、自己責任の下に自由参加のかたちで集まり、汗を流し、元気に去っていきました。
到着日は午後の2時間を、翌日は午前中を庭掃除にあてました。といっても、いきなり草抜きや畑仕事などは無理でしょうから、落ち葉かきに限りました。わが家では毎年、前年の秋の落ち葉を今頃まで残している部分があります。それを生け垣の下などから掻きだして竹藪に積んでもらう仕事です。落ち葉を今頃まで溜めておくのは一石何鳥もの効果をねらっています。先ず、毎日でる落ち葉を取り去る労力のセーブです。その落ち葉は厚く積んでおくと下草の成長を抑えます。またそこは昆虫やミミズの住処となりコジュケイなど野鳥の餌場になります。もちろん下の方の落ち葉から腐敗し、生け垣などの肥料にもなっているはずです。その落ち葉が一番乾燥する今頃に掻き出して竹藪に敷き、太くて美味しい筍を採るための肥料にするわけです。エコライフの一側面です。
庭仕事の合間に、木漏れ日の下で3時と10時のお茶の時間を設け、歓談しました。また、夕食と朝食前の1時間は、食事班、犬の散歩班、風呂炊き班とグループ分けをし、それぞれの担当についてもらいました。風呂炊き班は、手斧で焚き付けの木を割ったり、干した杉の小枝を使ったりして薪で沸かす体験です。もちろん私がつくった沐浴剤を使った風呂でした。7人に風呂場を開放し、同じ湯を2日にわたって使い、2日目の方がよい湯になっていることに気づいてもらいもしました。
2日目の午後は5時から始まるパーティーの時間まで自由時間にしました。昼寝や散歩など好きにすればよい時間です。5時からは恒例のアイトワ塾のパーティーに合流で、かつてシェフをしていた塾員の一人が腕をふるった料理の賞味です。彼は、今は実家の職人仕事を引き継ぎ、料理は好きな時に好きな人のためだけにします。彼はこの度のパーティーのために2日前から夜なべ仕事をして時間を作っています。
3日目は7時半からわが家流の和朝食をとり、焼き鮭の革も残さず食べてもらいました。その後片付けをして9時半にアイトワを後にし、午後の4時過ぎまで市内観光でした。友人の一人が、別の友人から借りた大型の車を駆ってくれたわけです。この2人とは学生は前夜のパーティーで顔見知りになっています。
市内めぐりは先ず美術館の鑑賞でした。その後は伏見の寺田屋や酒造蔵などの町並みを見ながら昼食をとるレストランをめざし、午後は若い女性の間で近年人気がある神社も訪ねました。陰陽師で有名な阿部晴明をまつった神社です。実はその神社の側に、「ペンステモン」という見逃せない京都の一つの新しい動きがあります。そこに立ち寄った後は紫野にある今宮神社に向かい、おやつに名物の「阿ぶり餅」を食べました。これも京都では見逃してほしくないところで、ここは古さを誇っています。長保2年の創業といいますから今から1002年前、西暦1000年から開いているわけです。
もちろんアイトワ滞在中に庭や家屋の構造を見学してもらい、エコライフに勤しむと家族が一体化し、生活にゆとりが生じることを伝えました。尚、3日目の食事代、おやつ代、駐車料、見学料の直接経費は学生と私で割り勘にしました。
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初日の夕食は、母屋のテーブルも借りてきてわが家の居間でとりました。3人の学生が食事班となって妻の指示の下に入り、餃子、巻き寿司、野菜サラダなどを作りました。煮豚などは前日から妻が煮込んでいました。男の子と違って食べる量が少なく、餃子や巻寿司が残り、巻き寿司は翌日の昼食メニューに加えられていました。
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2日目の朝は5時半に起床し、6時に集合をかけていました。モーニングコールをかけた妻によれば、すでに起きていた人がいたとのことでしたが、夜を徹して話し込んでいたのではないでしょうか。朝食は7時から、アイトワのオープンテラスでサンドイッチをとりました。小鳥の合唱がない時期ですから、曰く付きのステレオを生かしました。。 |
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夜のパーティーは総勢28名となりました。アイトワ塾の皆さんが手分けをして準備をし、騒いだあとの後片付けもしてしまう塾主催のパーティーです。学生は参加費1000円で合流です。最後をかざったデザートは、塾員のお嬢さんの差し入れで、手作りケーキでした。恒例のこのパーティーは13年前から始まりましたが、その頃に参加した子どもたちが、今や大学生とか結婚適齢期になっているわけです。
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大山崎山荘美術館は、大阪船場の豪商の息子に生まれた加賀正太郎がつくった山荘跡です。実業のかたわら文芸活動にかかわった人だけあって、豪勢で洒落た庭と建物です。今日のように皆がレジャーランドなどに出掛ける時代は、こうした後世の人が楽しみ憩えるような個人資産は作りにくくなっているようです
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阿部晴明をまつった神社のそばに、「ペンステモン」のショップがあります。ネクタイを製造する過程で出る端切れや廃液染というこれまでは捨てていた染料などを生かし、手織り機で世界に一つしかできない織物を作り、手縫いで二つと同じものができない衣類やカバン、アクセサリーや小物などを生み出しています。私たちは二人と同じ人はいないオリジナルですが、既製品に囲まれた生活に甘んじており、さまざまな問題や矛盾を生み出していることにも気付かせてくれます。
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阿ぶり餅を食べた一文字屋和助・一和には平安時代から使われている井戸があります。螺旋階段を降りていって、手杓で水を汲む井戸ですが、底に降りた学生は「ひんやりとして気持ちがいい」と声をあげていました。アイトワの半地下構造の一階も同じ原理で、自動的に夏は涼しく感じられるようになり、冬は逆に暖かく感じられます。
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