冬の準備とコミュニティー 02/11/12


 モクレンの実をカラスが狙う季節になりました。秋の観光シーズンと冬を迎える準備を始める頃合いです。先週、初霜を恐れてトウガラシに屋根をつけましたが、これは冬の準備ではありません。11月の中旬までトウガラシを収穫したい事情があるためです。だから簡単な覆いをかけたのですが、案の定、風でビニールシートがはがされました。わずか2週間のためなので簡単にと考えましたが、補強をして頑丈なものにせざるをえませんでした。その後、強い風が吹きましたがビクともしていません。

 秋の観光シーズンをひかえて、花壇の縁飾りなどの竹のアーチを取り替えました。紅葉には青竹が似合うのです。わが家のある小倉山一帯は奥嵯峨と呼ばれていますが、これからの1か月間に1年分のお客さんの何割かが集中します。わが家の喫茶店を例に引けば、1年に1日だけ400人近いお客さんがあります。それは11月23日の前後のある日です。その日をはさんで200人ほどの日が何日かあり、集計すればピークの1カ月となるわけです。次の観光シーズンは春ですが、桜のシーズンは座り込む酒宴が一般的ですから嵐山近辺の公園が賑わいます。それはともかく、閑散期はお客さんが日に2人とか3人がざらですから、水商売とはよくいったものだと思います。

 冬に備えてストーブなどの焚き付けを用意しました。竹を割って束ねたり、杉の枯れ枝を束ねたりしました。沐浴剤の最後の一種を収穫し、刻んで干しています。レモングラスです。昨年の2倍ほど収穫できましたが、どの植え方が一番よいのかははっきりさせることができませんでした。来年は、庭に直植えし、年に幾度か収穫するようにしたいと考えています。わが家の沐浴剤ではレモングラスだけが自生しておらず、なぜか少し気が引けています。

 この1週間に楽しい話が幾つかありました。友人の一人はネクタイの製造工程で出るこれまでは捨てられていた生地の耳を生かして織物をつくり、奥さんが縫製を担当し、家族で鞄や小物、ときにはベストやジャケットなどを創り出し、京都の独自の店で売っています。時々催事で出かけますが、東京での催事が大人気で奥さんがお嬢さんと急遽品物を届けに駆けつける事態となりました。その間に、これまではこの家族の仕事に関わっていなかった末のお嬢さんが、お店に立ったり織機の前に座ったりして大活躍しました。

 もう一人の友人が、京都で最も歴史がある花街・上七軒で着物業界に新風を吹き込む空間をつくり、そのお披露目に招かれました。築後100年と120年のお茶屋を手に入れ、内装を工夫して展示や販売ができるギャラリーをつくり、その一角に独自のオートクチュールの空間を設けました。彼は着物デザイナーですが、奥さんの協力と幾人かの若者の参画の下に、個性的なすばらしい着物と小物のオートクチュールを創出してきました。その京都の拠点が完成したというわけです。

 福井県の坂井群から柿が届けられました。毎年この季節になると送られてきます。きっかけは60年以上も前にさかのぼります。中国の一部を日本が満州と呼んでいた頃に、小学生だった姉が兵隊さんに慰問袋を送ったのが始まりです。姉が嫁ぎ、母がその跡を継ぎました。母が他界した今は、私たち夫婦が年に何度かの交歓を引き継いでいます。コミュニティーとは COM(お互いに)と MUNUS(贈り物)からできた言葉といわれます。これもコミュニティーの1つかもしれません。



               


モクレンの実です。熟れると裂けてオレンジ色の実が姿を現します。実は直径が1センチほどありますから、小鳥には食べることができないでしょう。例年になく、異常なほどモクレンが実を結び、このところカラスがしきりに狙っています。毎年、春には嵐山の中 腹でモクレンが咲きますが、カラスが種まきをしたのでしょう。


補強したわが家流の霜除けです。背丈は1メートル20センチあります。竹を割いた4メートル以上もある骨を8本作り、ビニールを挟んで固定しています。工夫をしながらこうした初めて手掛ける作業に挑戦すると夢中になります。自分の頭で考えて自分の手で作り出すことを私は創作活動、「考える+作る=創る」だと考えています。


家族で創作活動と販売に携わっている友人一家の製品の一部です。アイトワの物販コーナーでも扱わせてもらっています。世の中で1つしか出来ない、そして流行に左右されない代物で、友人一家はそのブランドやショップ名に「ペンステモン」という花の名前を用いています。もちろんアイトワの庭でも季節がくればペンステモンの花が咲きます。

夫婦で協力して着物と小物の創作活動に当たっている友人が設けたギャラリーの一角です。鰻の寝床といわれる京の町家は奥行きが深いのですが、その中程にこうした小さな庭があります。四季の変化が激しい京都では必然の庭だと思います。友人は「花菱」という名称のギャラリーを開きました。その一角に彼らの着物や小物を展示販売する「弓月(ゆづき)」というコーナーがあります。



越前柿です。渋柿の渋を焼酎か何かで渋抜きをするのだと思います。母も入った仏壇にお供えをしたうえで1ついただきました。この秋は、わが家では柿が実を結びませんでした。ヘタ虫に食われてすべて落果してしまったわけです。わが家では4〜5年に一度大豊作となり、あとはヘタ虫にやられます。


レモングラスです。私はタイでトムヤムクンというスープの中に使われていたレモングラスとの出会いがこの植物を最初に知ったきっかけです。今年もわが家の沐浴剤は完成です。10種類以上の薬草や香草を用いますが、年によって配合は変わります。毎年その異なる香りや肌触りの違いを楽しんでいます。


糞ころがしが冬に備えて最後の仕事をしています。ハッピーを畑の近くに連れてきてつないだ時に糞をしました。早速糞ころがしのお出ましです。土の中に引っ張り込み、卵を産みつけるのでしょう。

大きな亀が庭に出てきました。妻はそれを捕まえて、「お母さんが弁慶を迎えに来たのだろうか」と話していましたが、まだ妻は雌と雄の見分け方を知りません。弁慶はすでに食欲がなくなりました。好物のマグロにも見向きもしません。容器に砂を入れて、冬ごもりをさせます。
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