初雪とパーティー   02/11/20

 

 楽しい1週間でした。まず初雪を体験し、京都は広いなあと思いました。市内の一角、左京区の奥を訪れましたが、雪が見る間に20センチも積もったのです。次に、未花ちゃんがご主人の運転で赤ちゃんを見せに来てくれました。元気で、力が強く、目が何かを訴えようとするかのように輝いていました。次回はゆっくりと来てほしいものです。庭の見学では、幼児連れの大阪のご夫婦と四国の徳島からのグループをお迎えしましたが、私は少しぶっきらぼうな対応をしたかもしれません。庭でパーティーを開く予定が入っており、気ぜわしい準備の最中であったからです。2日前まで天気予報は雨と報じていましたし、当日の朝も雨が降りましたので準備が遅れたのです。

 初雪は、三千院の近くを通り過ぎてからさらに小1時間ほど奥の方に行ったところにある集落で体験しました。途中で雪が降り始め、標高600メートルの山間にある集落にたどり着いたときは本降りになっていました。かつては50戸ばかりの民家があったようですが、今は雪の季節は無人になります。山や谷は荒れ、水田跡には木が生えています。これで3度目の訪問ですが、次回は2月に計画しています。農村計画、植物生態、淡水生物、土木工学、造園などに詳しい学者にライフスタイルの私が加わっているわけです。皆さんと「次代の生き方」を示唆するような村を再現しようと語り合っています。

 その昔、その村では炭を焼いて主な収入源とし、塩とダシジャコそして醤油を買い求め、あとは自給自足でした。お寺が2つと神社が1つあります。その頃の村の様子を知る方が数名はご存命で、この度はその聞き取り調査の結果を廃校になった小学校で聞かせてもらいました。その間にも雪が降り続け、気温は零度に下がり、一面の銀世界になりました。でも参加した30名ほどの人は数名の村人を交えてホットになり、特に村の歴史を知る段になってヴォルテージが上がりました。奈良の二月堂では毎年お水取りの行事がありますが、かつてはこの村で採火し、奈良まで聖火リレーしていたといいます。

 庭の見学に四国から見えたグループは、亡き母の出身地である徳島で社会活動に携わったいる人たちでした。だから少し母を思い出しもしました。今は檜林となり苔がむしている所に母が耕した畑の痕跡が残っています。もちろん、見学者は日々の太陽の恵みの範囲で生きる工夫を学びに来られたわけですから、その実例をじっくりと見ていただきました。大阪からみえた親子連れに「お手伝いをしましょうか」といってもらえましたが、初めてだしパーティーの準備でとても忙しい時でしたから見学だけにしてもらいました。お手伝いをしてもらうには会得してもらわなければいけないことが沢山あるからです。

 庭でのパーティー当日はなんとか天候に恵まれ、4時に乾杯、9時半過ぎのお開きま17人で大騒ぎをしました。鍋をかけた炉と3つのかがり火では薪を燃やし、網で焼き物をする炉では炭をおこしました。皆さんに湯豆腐のすくい分けや干物の焼き役などを買って出ていただきましたが、次第に火奉行、竹酒の癇奉行、焼き芋奉行などと思い思いの役割が決まり、スムーズに時は流れました。最後のコーヒータイムだけ明るい屋内に移動し、そこで始めて参加者はお互いの顔を確かめながら自己紹介をしあいました。大笑いの連続でした。常は大勢の人を使っている社長さんや支店長さん、令夫人や高名な先生やジャーナリストなどがエプロンがけで、子どものように薪をくべたり、お鉢を運ばされたり、干物を焼いて配ったりしていたのですら思い出し笑いもあったようです。



               


醤油は麦を作っていなかったので買っていたという村は京都市内なのに携帯の圏外でした。チェーンの用意をしていなかったマイクロバスの運転手さんは途中の料理屋さんで電話をかり、本社に救援を頼んでいました。そこから更に山道を小一時間ほど行くとその村にたどりつきます。ギンナンを沢山落としているはずのイチョウの巨木がありましたが、一面の雪で近づくことさえできませんでした。


四国のグループは17名で、お土産に標高2000メートル当たりに自生しているというドウダンツツジのような姿の木の苗をいただきました。ドウダンツツジとは違って赤い花が咲くオンツツジという名前だとお聞きしたように思います。。手作り「もろみ」もいただきましたが近く賞味いたします。謝礼はいつものようにアイトワ基金に積み立てました。

パーティーは雨のことも考えて、焼きおにぎりと朴葉味噌ではなく柿の葉寿司を用意しました。庭の柿の葉の彩りの良さを楽しんでいただけたようです。焼いた牡蠣料理には庭のホースラディシュ、湯豆腐のタレには庭の柚子と庭の植物が大活躍でした。中国の成都で買ってきたキヌガサタケを酢の物にして振る舞いました。来年は庭のキヌガサタケを使えるようになりたいものです。


サツマイモの隣に中国で苗族を訪ねた折に手に入れたトーモロコシが解凍できてから並べました。夏にもぎたてを蒸して冷凍し、今まで食べずに保存していた逸品です。夏のもぎたての味や風味を100点とすると60点以下でしたが、好評でした。是非とも来年の夏には採りたてを食べにお越し下さい、とお誘いしておきました。


男女半々のパーティーでしたが、立派なご主人の面倒をみたり立派な仕事をしている女性ばかりでしたから妻にはとても学ぶところが多かったようです。初めてアイトワの庭に来られた方は4名に過ぎませんでしたが、庭でマムシに噛まれた話をした時は皆さんの顔が少し緊張しました。「いまはもう(寒いから)居ませんね」と念をおす方もおられましたが、「まだ火の気には寄ってきます」とお答えすればよかったのかな。

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