落ち葉かき 02/12/26
大垣市で文部科学省指定の小中学校一貫教育プログラムに3年間かかわらせてもらいました。実に感銘深い3年でしたが、ただ一点だけ気になることが成果発表会の日に生じました。掃除をテーマにした授業で、生徒が通学途上の道や校庭の掃除をした経験談を発表したのですが、落ち葉をタバコの吸殻やお菓子の袋などと同列のゴミと見ていることを知ったのです。私は発表会の最後に与えられていた感想を述べる時間を心待ちにしました。
「今、校庭には桜の落ち葉が沢山ありますが、皆さん、あとで何枚かを拾って見比べてください。皆さんと同じで1枚として他と同じ葉はないのです。春の若葉はどれも似ているように見えますが、秋になるとより個性が明らかなっています。毛虫に襲われた、日陰になった、病気にかかったなど、いろんな体験してより個性的になっているのです。それが自然というものです。私の家には木が沢山ありますから落ち葉がたくさんでます。その落ち葉を山のように積んでおきますと、カブト虫やミミズが育ち、小鳥やモグラを呼び、イタチやヤマバトが住み着く庭になります。元は赤土の痩せた土でしたが、今では黒い肥えた土になり、美味しい菜っ葉も育てます。自然が創った落ち葉は、人間が作ったタバコの吸殻やキャンディーの包み紙と何かが大きく異なっているのです。その違いは何か、あとで落ち葉を見比べる時によく考えてみてください」
この話をしながら、私は近くに住んでおられる中学校を定年退官された方を思い出しました。その人も落ち葉をゴミと思っておられるのです。毎年秋になると枯れ葉を次々と落とすモミジの木なんか切ってしまえとの意見の持ち主になり、春は逆に毎年「きれいな新緑どすなあ」と喜ぶ人になるのです。近頃は、道行く観光客が口々に「ワーきれい」とか「モミジのトンネル」と大声で叫びながら通りすぎるようになり、さすがに切ってしまえとは言われなくなりました。しかし、夕刻になると長い竹竿を持ち出してきて枝を払い、しこたま葉を落としてから掃除をしておられます。次の日もその次の日も。
近頃、世の中では、お寝しょうをしたといってわが子を折檻したり絶食させたりする大人がいますが、これは教育やオモチャの影響もあるかもしれません。タマゴッチなどは、糞もしないし嫌な臭いも嗅がずにヒヨコを育てられます。間違って殺してもリセットすれば幾らでも一から育て直せます。自然界の命とは大きな違いがあります。
自然界では、1センチメートルの土ができるのに100年もかかると聞いたことがあります。長い時間をかけてだんだん大きな木が育ち、さまざまな動物を育む豊かな山になるのでしょう。その木をすべて切ったりすると雨が土を流し、再び豊かな山になるには気が遠くなるほどの年月が必要だといいます。簡単にはリセットがきかないのです。
落ち葉を堆肥場に運びながらこんな思い出にふけりました。楽しい報せがあり、別の思い出を呼び戻しました。台湾の陳さんが例の難しい試験に合格し、来春外務省に入ることが決まったとの報せです。その報せが、台湾で陳さんに案内してもらった故宮博物館での思い出をよみがえらせました。付属の喫茶室で閉館時間まで長いあいだ話し込んでしまった思い出です。二人で、これからどのような世の中になって欲しいのかを話し合ったのですが、博物館にあった宝物を見る気にさせない会話になりました。私たちの生活が豊かになるに従って山が緑豊かになり海がきれいになる生き方です。それは難しい課題ではないと私は考えていますが、陳さんもそう考えてたのか質問攻めにあいました。
腐葉土を作る設備の途中段階です。人によっては、この設備を作るお金で、一生涯にわたって必要とする腐葉土が買えるのではないかと言います。それもそうでしょう。私は古を4枚使って囲う堆肥場の方が好きなのですが、近頃の畳はだめなのです。腐らない糸を使って縫ったり、腐らない付属品を使ったりしていますので、堆肥になった時に大変なことになるのです。
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このような落ち葉の山がすでに二つできています。部分的に掃除をした落ち葉を積んだ山ですが、この何倍も何倍もの落ち葉を常設の堆肥場に運び込むことになります。それを重労働と見る人がいます。腐葉土を買えばこのような重労働からも解放されるのではないかと言います。それもそうでしょう。その考え方も計算が合っているように思いますが、私には別の計算があります。
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これが完成した堆肥場の姿です。こうした設備を作る人が増え、それを次々と後世に引き継ぐような世の中になればよいのにと思います。そうすればこうした設備は資産となりますし、落ち葉をゴミとして扱わずに資源にできます。その腐葉土を生かし、土が豊かできれいな国にしておけば、いざという時の備えになります。食料とか飲料水はそうした土が決め手です。そうした土を養うことが、生きる力や自信を養う源泉のようなに私には思えるのですが。
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これは、腐葉土をたっぷりと入れた土が育てた野菜です。この春に花を咲かせた野菜が種を落とし、自然に芽生えたものです。水菜、すぐき、白菜、小松菜、壬生菜などが混血した種ですから、芽生える菜の葉の形はそれぞれ異なります。もちろん味も異なり、あげと煮るのが美味しい野菜、お浸し向きの野菜、漬けると美味しい野菜とさまざまです。だから妻は、おもしろい収穫の仕方をします。
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今年は「日の菜」もよく育ちました。最初の間引き菜を漬けました。大きく育ったものだけ間引きしたわけです。小さいのはまだ畝に残してあります。いずれ大きくなればそれも漬けることになると思います。この漬物も、上げたてを食べないと本当の美味しさをあじわえないのです。
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