検証とイブリガッコ 03/03/03

 楽しいことがありました。アイトワ塾の次のテーマが処女作の「検証」と決まったことです。この塾は1988年から始まり15年目を迎えましたが、拙著の解読から始まっています。バブルという言葉が流行る以前のことでしたが、社会は消費社会に酔っぱらい始めていました。処女作は、浮かれ始めた人々に対する警鐘で、消費社会の次に来る「ポスト消費社会の旗手たち」を目指そうと呼びかけています。その拙著を題材にした勉強会として始まりましたが、その検証がこれからのテーマになったわけです。

 もちろん私は緊張しています。この本には相当の思い入れがあったからです。この本を著すためにサラリーマンを辞めたといっても過言ではないからです。勤めていた会社の社長が、1985年のこと、株式や土地などに手を大々的に染め始めました。社長室長だった私は反対です。結局、役員会で「また森さんだけが反対か」と社長にうんざりした顔をさせた日の夕刻に辞表を出しています。その時すでに、この本の骨子は社長への報告書として出来上がっており、秘書にワープロで清書をし始めてもらっていました。だが、完成に至る前でしたので辞めてから2年がかりで出版にこぎつけ、その社長をはじめ大勢の人に献本しました。しかし、誰にも相手にしてもらえませんでした。

 そうした時に、勉強会の話が舞い込んだのですから感激です。「アイトワ塾」と名付けて月に1度の勉強会がスタートしました。アイトワという名称は、私たち夫婦がポスト消費社会に立ち向かう一つの実践例として創出した空間に名付けたものです。その空間で夕刻に集い、腹ごしらえをした上で2時間余り勉強し、その後はビールとおつまみで時には12時過ぎまでワイワイガヤガヤやりました。

 その勉強会で、15年前の拙著を検証することになったのです。検証の仕方で様子は大きく変わることでしょうが興味津々です。的中率に興味を示すのではなく、次代の兆しの読み方や、読み損ねるわけなどをキチンと検証するつもりになれば、未来への備えとなりそうです。いわゆるフューチャープル型の思考方法へと大きく歩を進めるための検証に出来そうです。そうしたテーマに取り組むことを決めた日に、秋田から折よく珍味が到着しましたので、皆さんに一切れずつ味わってもらえました。イブリガッコです。

 去年の冬に秋田を訪れた時に、角館の旧家にお招きいただき、漬物蔵を見学し、様々なお漬物を御馳走になったのですが、イブリガッコを食べるには少し早すぎたのです。そのお宅が、今年は真空パックが出来るようになったといって送ってくださったわけです。アイトワ塾の皆さんは全員が初めて口にされたようでしたが、とても好評でした。「お酒ともあうでしょうな」との声もありました。この塾も、飲酒運転が厳しくなってからは勉強の後のビールは中止し、代わりにコーヒーで騒いでいます。

 翌日は畑に出て、壬生菜のあとやカブラのあとを耕しました。キュウリやトマトなど夏野菜を植えつけるための準備です。すでに20種類ばかりの種を準備し、夏野菜に期待しています。この冬は、壬生菜をまともには食さずじまいで終わったりしたからです。3割ほど収穫した日の夜に厳しい霜が降ったようで、すっかり葉が傷んでしまい、収穫する気持ちにはなりませんでした。今年の冬はなんとかして昔の品種の種を探したいと思います。ラッキョウと葉ニンニクそしてカキチシャの畝の除草もしました。次の休みは、大工仕事とシイタケの種駒打ちが待っています。雨が降らないでほしいものです。

       


蕗の薹が出始めました。もう春です。庭には3つ出ていました。蕗の薹は、味噌仕立ての佃煮や天ぷらなどにもしますが、私は蕗の薹茶漬けが好物です。年に一度は造ってもらい、あのホロ苦さを堪能します。その時にイブリガッコがあればもっと美味しくなるのではないでしょうか。



真空パックに入った「イブリカッコ」です。干した大根を燻製にした上でタクワンのように漬けるのでしょう。塾の皆さんに味わっていただきたくて、日を指定して送ってもらいました。ご母堂が漬けられたはずですが、実においしい。わが家では今、日の菜の漬物をあげていますが、家庭で漬けた格別の美味しさを心得ているつもりです。





検証することになった拙著です。「ホワイトカラーやブルーカラーは不要になる。次代の主役になるために多彩な資質を備えたビブギオールカラーになろう」との提唱です。次代をポスト消費社会と見たわけです。ビブギオールとは、VioretのVから始まりRedのRで終わる虹の頭文字を綴った VIBGYORに襟のカラーを着けた造語です。


葉ニンニクの畝です。秋口に植えた分は、今が収穫期です。葉を切り取って使いますが、切り取られたあとから新しい葉を伸ばします。わが家ではネギも根を残して収穫します。葉ニンニクは、炒めものにも使いますが、これで餃子をつくると美味しい。円内は過日、保存していた球根が芽を出し始めましたので畑に植えつけましたが、元気に育っています。これは、春から夏に収穫することになるでしょう。



匂い水仙がシーズンです。妻は、月刊誌『嵯峨』に使う人形の写真を、この匂い水仙をバックにして撮っていました。その写真は来年の今頃、私のエッセーと一緒に紙面を飾ることになりそうです。これから次々とさまざまな水仙が咲きます。わが家の庭では1カ月前に盛りを過ぎた白いペチコート水仙がトップバッターでした。
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