エゾヤマツツジと惜別 03/03/17
クリスマスローズが満開で、フキノトウがシーズンです。ぼつぼつフキノトウ茶漬けを食さないとシーズンが終わってしまいそうです。わが家では決してフキノトウやフキを乱獲していないのに、近年はフキノトウが減ってきたように思います。フキは減っていないのにフキノトウの数が減るのはわが家だけの現象でしょうか、興味があります。
この一週間はいろんなことがありました。恩師中の恩師や、親友中の親友の他界。小さな卒業式への参加。大垣の業界人が集うクラブの合同会でのスピーチ。社会的に活躍するある女性クラブから表彰の対象候補に選びたいとのお話。心が大きく上に下にと揺れた一週間でした。卒業式は、ぎふ地球環境塾という県が音頭を取って親子を対象に開講した講座ですが、副塾長をさせてもらっている関係での参列です。恩師の訃報は、故人の意志で満中陰の法要を済ませてからお知らせした、と文面にありました。高校で、2年生と3年生の担任でした。友の訃報は、いきなり葬儀委員長を仰せつかったのですから仰天です。昨秋、友は紅葉の京都を訪ねてくれましたが、お互いに肩の荷を下ろして温泉にでも行こう、と話しあいました。その気になって矢先の知らせですから落差が大き過ぎます。
急逝した友は、埼玉県の羽生で活躍する現役の経営者でしたから会葬者は多様でした。彼の人柄でしょうか、大勢の年老いた女性や若い人がさめざめと泣く姿に接し、もらい泣きしました。41年前に商社で新入社員として出会い、お互いに進む道は大きく異なりながらも夫婦で行き来する仲でしたし、妻が一人でも泊まりに出かけられる数少ない友でした。教室展の追い込み中の妻は、庭のクリスマスローズを届けただけで飛んで帰りましたが、葬儀が進む過程で示した奥さんの姿を見なくて良かったと思います。私ですら堪えきれない心境でした。きっとこの奥さんと妻は、これまで以上に親交を深めるに違いありません。友はこの春で事業を長男に引き継ごうとしていたといいます。
惜別の念を胸に帰宅しますと、きれいに咲いたエゾヤマツツジとアクセルという犬の主からの嬉しいメールが迎えてくれました。エゾヤマツツジは冬には葉をほぼ落とし、花をこの時期につけます。他のたくさんあるツツジやサツキは葉を残していますが、花はつけません。昨秋、徳島県の方々をお迎えした折にいただいたお土産の「オンツツジ」は、冬は落葉し、花もつけない種類のようです。
庭では今、野草がたくましく育っています。晴れた昼間は暖かくて葉をむくむくと育て、逆に夜の冷え込みは土の中の根を深くしっかり張らせるようです。だから、抜き取りますと、土を抱えた大きな根がついてきます。妻の人形展が終わる来週あたりから、二人でせっせと除草など庭掃除にとりかからなくてはいけないでしょう。
アクセルという愛犬、私には思いつかない素晴らしい名前です、とメールをしたためました。友の葬儀に出かけ、失意の内に帰宅しましたが、あなたのお手紙に接して暫し心が晴れました。世の中は真意の伝わりにくいところですが、急逝した友は私が何を言ったのかを正確に記憶し、後日検証してくれる数少ない人でした。多くの人が言葉を正しく記憶に留めてくれないなら、と本を書きはじめました。だがあなたのようにきちんと読んでくださる人は少ないようで、献本した多くの人はバブルに酔っていました。未来には、願望の未来と必然の未来があるようですが、既成概念とは人を願望の未来へ誘う甘露なのでしょうか。あなたは必然の未来に向かってアクセルを大切になさってください。
クリスマスローズが満開です。白だけでなく、ピンクや赤紫色の花も今年はきれいに咲きましたが、妻は白いクリスマスローズと黄色い花菜で花飾りを作り、羽生の友のもとに持参していました。大きなユリや蘭などが散りばめられた生花の中にあって、埋もれることなく存在感を示せたのは、飾ってもらった位置のおかげでしょう。
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ぎふ地球環境塾は、三洋電気が提供の「太陽電池科学館ソーラーラボ」を会場に、全幅315メートルの巨大なソーラー発電パネル「ソーラーアーク」が見ながら開講しています。わが国は太陽発電機に関しては最先進国で、世界の4割以上を生産しています。わが家は、少なくとも関西では民間有償設置者では第1号です。
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フキノトウ味噌(左上)をつくってもらいました。ホロ苦い味がとても魅力的です。酒の肴にもむきそうですが、まだ試したことがありません。いつの日にか、厳しい寒さが残っているこの時期に、誘いにのってくれる友を見つけ出し、フキノトウ味噌で熱燗を傾けたいと思っています。酒がすすみ、舌や喉は喜びそうですが、血管や脳を苛めそうです。急逝した友は酒は飲みませんでしたが、つい最近までタバコを吸っていました。
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エゾヤマツツジはすでにきれいに花を咲かせています。10年ほど前に父が他界した年は見事な花をつけていました。これからは、この木が花をつけるたびに、私たち夫婦は急逝した友と父の二人を思い出すことになるでしょう。恩師は1月半ばに亡くなっておられましたから、来年の命日に、思い出の植物を定めたいと思います。
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ピンク色のアセビが満開です。アセビは馬酔木という漢字を与えているように、馬や牛が食べると泡を吹いて、ひっくりかえってしまうそうです。私は中学生時代に搾乳のために山羊を飼っていましたが、与える餌の中に知らずに紛れ込ませてしまい、泡を吹かせたことがあります。散歩に連れ出した山羊は、野生のアセビを見ても食べませんでした。
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