山菜と一生や一所 03/05/13

 私のGWは、6日の火曜日が最後の1日でした。好天でしたから朝早くから庭に出て、足掛け3日もかかった野小屋まで電気を引く工事を完成させました。次に、鉢植え植物にたっぷりと水をやった上で、藍の苗箱の手入れをしました。藍をまいた土にホウキグサの種が紛れ込んでいたようで、藍より大きくなっていたので丁寧に抜き取り、ポットに植え替えました。この秋は、多数のホウキグサが紅葉し、庭が賑やかになりそうです。

 11時ごろに2つの宅急便が届きました。一つは秋田の知人からです。2日前に山菜を送ると知らせが入っていました。もう一つは、思わぬ贈り物で、以前にジェラードの工房を開くと知らせてくれた人からの冷凍パックでした。そそくさと庭仕事を切り上げて荷を解きました。山菜は、知人が「秋田県の南端羽後町の友人を訪ね、4日に一緒に採った」おすそ分けでした。コゴミやワラビなど9種類と、友人の御母堂が作られたという「田舎のおかき」です。おかきには「低温の油でじっくりと揚げてください」とのメモがついていました。シドケ、ホンナ、サシボ、アイコの4種は初めて見る山菜でした。秋田にはヒデコという山菜もあります。だから、秋田出張から帰った男が「アイコとヒデコがうまかった」と奥さんに話して酷い目にあった話もあったとか。

 アイトワは火曜日が定休日です。洗濯や部屋の掃除などをしていた妻は、着いたばかりの山菜も手早く処理し、午後は久しぶりで畑に出てきました。温室でマリーゴールドやサルビアの苗の植え替えをしたかったようで、苗箱からポットに一本ずつ植え替え始めました。私はその土に混ぜる堆肥を用意しました。堆肥の山には竹の根が好きなように張っていますから「ブチキリ」という農具で竹の根をブチ切る重労働です。堆肥の山を崩し、篩(ふるい)で細かい堆肥だけを取り出し、温室まで一輪車で運びました。

 これから10日ほどの間に、種まきや苗の植え替え作業がまだたくさん待ち受けています。今年はムラサキグサとマンダラゲの種がうまく発芽し、本植えを待っています。3年前に発芽した宿根のムラサキグサはすでに花を咲かせています。マンダラゲも宿根ですが、今やっと芽を吹いたところです。一年草のルコウソウは例年通りにたくさん発芽しています。野菜では、モロヘイヤが本植えを待っています。これからゴーヤ、トウモロコシ、オクラ、ハナオクラなどの種をまきますが、まずトウモロコシの種を2〜3日水に浸します。特にトウモロコシは背が高くなりますから、畑のどこで育てるのか思案しています。背が一番高くなる作物は昨年から仲間入りしたヤムイモですが、これは他の作物を日陰にしないように畑の一番北側の何処かで植えることに決めています。

 こうした思案や段取りをすませて4時過ぎに庭仕事を切り上げ、風呂の残り湯で汗を流し、ジェラードでリフレッシュしてから書斎に入りました。翌日から始まる講義の準備です。私はいつまでたっても講義の前になると緊張します。ライフスタイル論や環境論を鮮度の高い内容にしようと思うと、社会情勢が刻々と動いているだけに大変です。私たち日本人は一所懸命や一生懸命になって働くのは得意ですが、時代の方向を見通すことが不得手ですから、懸命の努力が徒労になりがちです。私は、未来に立ち向かう学生に、「一生」や「一所」のしかるべき「考え方」や「方向の見定め方」も説きたいと思っていますから緊張します。今、わが国の多くのリーダーたちが見定めている「方向」や「考え方」は、いずれ間違っていたことに気づかざるを得なくなりそうで心配です。


こんなに沢山の山菜でした。ワラビを灰汁に浸したりアイコなどは茹でて冷蔵庫に入れたりと、妻は手早く処理していました。早速夕食で、ヤマウド、サシボ、タラノメ、コゴミを天麩羅にして賞味しました。畑の野菜がとぼしい季節ですから妻は大喜びです。野芹には根がついていましたので、庭の湿地に植え、増やしてから賞味することにしました。

翌朝、妻はサシボを味噌汁の具に、アイコとコゴミを炒めものにして使いました。サシボはタデ科のギシギシの若芽だと思いますが、ぬめりがあって美味しい。アイコはミヤマイラクサの若芽と思われますが、気になる刺も茹でると柔らかくなり食べやすい山菜で、かしわと炒め煮にしたのが旨かった。ホンナはおひたしやあげと煮ました。ヤマウドは酢味噌和えやおすましの具に、サシボは味噌汁の具や天ぷらが美味しい。シドケはおしたしで使い切り、ワラビはあげと煮るのがわが家の定番です。

ブチキリと、ブチキリでぶち切って取り出した竹の根です。竹は栄養を求めて堆肥の山に進入し、根を網の目のように張るわけです。左のブチキリは家宝です。30歳代の母が一家を支えるために使ったものです。当時の母は痩せていて40キロたらずでしたから、ふりかざしたブチキリの重さで竹や木の根を切ったようです。私は少し軽くて柄の長いブチキリを力任せに振りまわしています。

夏の畑らしくなりました。右手前はトマトの覆いです。左端はツタンカーメンの墳墓由来のエンドウです。中央奥はカボチャの棚。その間に、トウガラシ、キュウリ、インゲンマメ(三度豆)の支柱が見えます。ツルムラサキやニガウリ(ゴーヤ)の支柱もそのうちに立ちます。

花をつけたムラサキグサです。ハンカチ1枚ぐらいなら一株分の根で紫色に染め上げられるそうです。手前はその苗です。とても希少な植物になってしまったと聞きますが、3年目にして初めてうまく発芽させることができました。これは地植えにするつもりです。できれば自生させたいものです。
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