菜園家族と分かち合い 03/06/20

 弘法さんと呼ぶ終日市は晴れました。送り迎えをしてもらった塾生は西陣の狭い露地を走りましたが、軒先には様々な鉢植え植物がならび、満開のクチナシがよい香りを振りまいていました。同道した休塾中の塾生は奥さんとお嬢さん同伴でしたから会話が弾みました。このご夫婦に市で素敵な陶芸家と引き合わせてもらったり、何万という人混みの中で別の塾生とばったり出会って情報を交換したりしました。同行した妻も大喜びで「弁慶が大きくなったから」と言って、少し大きめのガラス容器を買っていました。

 その日の午後は滋賀県立大学で開かれた「菜園家族」という集いに出掛けました。集会は3回目でしたが、すでに大勢の常連が出来ていました。主催の小貫先生は、やがて工業文明は破綻するものと見てこの集いを構想されたようです。いつも案内状を下さるアシスト役の伊藤講師もお元気でした。このお二人はモンゴル研究の第一人者で、記録映画『四季・遊牧―ツェルゲルの人々―』を見て以来のご縁です。コメンテーターも素敵でした。

小さな企業を経営する向山さんという方でしたが、商い額を縮小しながら利益を上げているとのことでした。膨脹経済の時代は終わったと見る経営手法の転換で、週休4日制を夢とし、休日を自給自足力の確保に当てようと社員に呼びかけています。まず週休2日にしており、なんとか全従業員が田畑に手を着けるまでになった、とのことでした。

 小貫先生は雑誌『自休自足』を通してわが家の生活を覗かれたようです。先生が目指しておられる次代の生き方をイメージする上で、アイトワの試みはお役に立つかもしれません。40年前に工業文明の破綻を予感して手を着け、20年前からは確信の下に繰り広げてきた循環型生活です。また、私の企業観は向山社長に共感してもらえるはずです。1990年に『人と地球に優しい企業』で仮説を立て、8年後に『「想い」を売る会社』で検証した21世紀型の企業の姿です。企業を利益を上げる手段にするのではなく、次代を構想し「社会を改革する道具」として活かす時代だと見ています。

 翌日から曇りがちになりましたが妻と一緒に久しぶりに庭に出て、連携作業に当たりました。山のように積んであった剪定や間伐で出ていた木や竹を燃やして灰にしました。シイタケのほだ木の天地返しや義妹が届けてくれたオクラの苗植え、花期を終えたマーガレットの刈り取りやマリーゴールドの本植え、愛犬「ケン」の小屋回りの掃除やトマトのカラス対策などをしたわけです。わが家の菜園では今、キアゲハの幼虫が好むセロリや人参、フェンネルやトウキ、イタリアンパセリや三つ葉などの開花期です。

 妻の仲間がもう一人、家庭菜園を始めました。その人は、建設途上のアイトワを見て喫茶室を喫茶店にする提案をし、今日まで17年間も喫茶店を守ってきた一人ですが、定年退職したご主人を巻き込み、広い畑を借りたわけです。アイトワの庭からすでに幾種かの苗がお嫁入りしました。数年前から義妹(妻の妹)は夫婦で本格的な休日菜園を手掛けており、苗や収穫物を交換してきましが、仲間が増えたことで便利になりそうです。早速私は、スーヨー(四葉)キュウリの第2弾の苗作りを頼まれました。

 未花ちゃんが久し振りに家族の写真送ってくれました。11カ月でヨチヨチ歩きが始まったようです。手足が大きい子だそうですから、きっとお父さんに似て背が高くなることでしょう。おじいちゃんのような気分で登校して教鞭に当たったあとの週末は、晴れ間を見て、妻と例年通りに母屋の周りから植え込みの刈り込みに手を着けました。


弘法さんは、広い東寺の境内を中心に毎月21日に開催される終日市です。東寺には日本一高い五重の塔がそびえています。亡き母が、高価なものを思い切って買う時に、いつも「東寺の塔からとんだつもりで」と口走っていたことを思い出しました。

丸っこいガラス容器は、妻が見つけた弁慶の次の住処です。中古の金魚鉢ですが、これを買った妻に、送迎役を買って出てもらえた塾生が「弁慶は雌ですか」と質問していました。この容器はなぜか女性的に見えますが、亀は私の目にも金魚と違って男性的に見えます。

トウキの白い花です。温室の手前に黄色いフェンネルの花が咲いています。花は同じく白なのに、三つ葉はトウキや人参と花のつき方が異なります。これらは花の色や花のつき方は異なりますが、何れもがキアゲハの幼虫の好物です。私たちは、フェンネルやトウキは沐浴剤に、他は食材に用います。トウキだけは思ったように増えません。

トマトのカラス対策です。まだ青いのにトマトがカラスにつつかれました。さっそくカラスと知恵比べです。今回は、一年かけて拾い集めたカラスの羽と、ある目的で作った割り竹の残りを生かした脅しです。割り竹のアーチにはテングスを張ってあります。

今年もキヌガサタケのシーズンになりました。櫟の大がかりな剪定のために藪を荒しましたから、どうなることかの心配していましたが、すでに20ほど出ました。このキヌガサタケは25日の読売新聞夕刊で紹介されました。残念ながら曇天が続き「干して食材に」というわけには行っていません。
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