雨の来客とニガリ 03/07/14


 3人の来客があった土曜日は雨がちでした。前日から雨を覚悟した準備(柿の葉寿司の仕込みなど)に切り替えましたが、正解でした。4時頃に雨が上がり「せめて湯豆腐ぐらいは」庭でと考えましたが、すぐに雨が降りだし、あきらめました。翌朝は、雨が上がっていましたからテラスでサンドイッチをと考え、ジュースやコーヒーを運び始めた矢先に雨がぱらつき、屋内に変更しました。これなら風除室で用意しておけばよかったのですが、後の祭りです。雨に備えて掃除をしたり鉢植え植物を飾りつけたりしてあったのに。

 夕食も朝食も一つテーブルでとりましたから、それだけ話ははずみ、夜はお酒もすすみました。第一次産業を疎かにする社会の問題点、手作り料理など家事労働を避けぎみの家庭の問題点などが話題になりましたが、こうした話題はわが家の食卓でよく取り上げますから妻も積極的に話の輪に加わりました。もちろんわが家ならではの庭の出来事も話題にしました。二匹のイモリのその後、今年初めて見たキリギリスやマンダラゲの花、やっと一つだけ蕾を上げたオオガハス、ジネンジョの蔓で見つけた初めて見る3匹の大きなイモムシなど。3人のお客さまには、庭の話題だけでなく、庭の産物も気に入っていただけたようです。スーヨーキュウリは今が旬ですし、最後の淡竹が夕食時のヒロウズとの煮物や朝のサンドイッチで生かされていました。前夜の風呂の自家製沐浴剤も好評でした。

 3人をお見送りした直後から陽光が差しはじめたのですから皮肉です。後片付けや昼食の後、少し体を休め、3時過ぎから庭に出ました。「今日だったら、庭で出来たのに」と妻と残念がりながら大きな脚立を持ち出し、座敷の前庭の手入れをしました。白い木蓮が大きくなった時のことを想定し、その北側にある沙羅の背丈を半分に切り詰めました。期待通りにゆけば、木蓮が覆いかぶさるようにして茂る下で、沙羅が木蓮の一部のようになって茂り、花をつけるはずです。座敷から眺めると、座敷に日陰を提供する木蓮が緑の壁のようになり、その下部で沙羅が白い花をポツポツと散りばめたように咲き誇るはずです。この2本の西側にナツメの木がありますが、それも背丈を切り詰めました。この一連の作業で出た剪定くずを焚き火場に運んだあと、ロックガーデンと呼んでいる焚き火場と前庭の中ほどにある中庭でヒラドやムラサキシキブの手入れに移りました。その直後に雨がパラつき、アッという間に大雨になりました。そそくさと道具を片付けて居間に引き上げ、二人は顔を合わせるなり「今日でなくてよかったね」と口を揃えました。庭でパーティを始めていたら「今頃ずぶ濡れね」と話し合ったわけです。夕刻、ホビーショップに出掛け、大きな密閉容器を探しました。ニガリを貯蔵するためです。結局、水用のポリタンクしか見つかりませんでした。ニガリを求めていると知った義妹のご主人が、一袋届けてくれました。一生使えそうな量です。もちろん畑でも使いたいと思って求めていました。40年来同じ畝を耕作してきましたから、欠乏した微少ミネラルがあるかもしれません。

 学校に出た水曜と木曜は雨が上がっていましたが、金曜からまた雨がちの日が続き、晴れ間を探すのが大変でした。第二陣のスーヨーキュウリの苗が大きくなりましから畝に下ろしたかったからです。降り続く雨で野草やニガウリの蔓などが伸びほうだいですから、畝の間に生えた草だけでも抜かないとインゲンマメやトウガラシの収穫さえ思うようにはいきません。だから雨が降りやむとニガウリの蔓を支柱につり上げたり畝の間の草を抜いたりしたのですが、ヘトヘトになりました。本格的な蒸し暑さになったからです。


オオガハスが18日に二つ目の花芽を持ち上げました。先に上げた花芽が咲くのを狙って。嵯峨御流の機関紙、月刊『嵯峨』用の写真を撮りたいと思っています。2年ほど前に妻と共著で『庭宇宙』を出しましたが、『嵯峨』では『華宇宙』という題を頂いた連載のエッセーを書かせていただいており、カット用の人形の写真を、妻がカメラマンのご指導を頂きながら庭で撮っています。

ジネンジョとジャスミンの蔓に、毛がなくて、大きくてつるんとした肌の蝶(又は蛾)の緑色の幼虫が3匹もついていました。大きいだけに食欲はものすごく、見る間に葉をたいらげてゆきます。初めて見る幼虫だけに、どのような蝶(又は蛾)の幼虫なのか確かめたいところです。鉢植えのジャスミンに移して風除室ででもと考えたのですが、義妹に鉢植えのジャスミンをあげてしまいましたから、この度はあきらめました。

今が旬のスーヨーキュウリです。長いものは40センチをはるかに超えます。このキュウリは商品化しにくいようですが、浅漬けにしてもサラダやキュウリもみに使っても美味しい。伏見トウガラシも旬に入りましたし、トマトの収穫も始まりました。もうすぐ、ツルムラサキやモロヘイヤも収穫できそうです。

手前中央のポットは元気に双葉を出した第二陣の3軒分のスーヨーキュウリの苗(8日撮影)です。これが19日には畝に下ろしたくなるまでに育っていたわけです。右奥の鉢では綿が双葉を出しています。その左のポットはサクラソウです。その手前、左下の平鉢で育つ植物はアメリカ先住民のバンドエイドです。切り傷などにはこの葉を張りつけて治します。

庭でヒヨ鳥が一匹死んでいた、と妻に木曜の夕刻に聴かされ、雨が上がった土曜日の昼に埋めてやろうと思って行きますと、骨と毛羽根しか残っていませんでした。骨も頭蓋骨と膝下部分の脚の骨だけです。昆虫や微生物が総出で雨の中の風葬を繰り広げたのでしょう。早くしないと、猫などにさらわれてしまいます。

つゆの今ごろは、キノコのシーズンです。キヌガサタケが終わったあと庭のあちこちにさまざまなキノコが生えます。もちろんキヌガサタケと竹やぶの関係のような何かがあるのでしょうが今のところそれぞれのキノコの相手を言い当てることはできません。ここでお示しするキノコは今、庭に出ているキノコの半分くらいの種類でしょうか。
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