アリとキリギリス 03/08/13

 3日の日曜日は終日室内で過ごしました。キリギリスやセミなど夏虫の合唱を聞きながら、月刊誌『嵯峨』で連載中のエッセーの校正や新たに連載が始まる季刊誌『自休自足』の原稿の最終的チェックをしたり、定期的に寄稿させてもらっているファッション業界や繊維業界の人々のための業界紙『繊研新聞』に送る原稿を作ったりしたからです。近頃はニイニイゼミが減りヒグラシが増えています。

 庭仕事は翌月曜日から手を出し、手始めに2度目のキュウリの支柱を立てました。学校が夏休みに入ったのに私は韓国旅行などで10日近くも家を空けましたが、代わって妻が畑仕事に精を出し、かねてから購入してあった水菜、花菜、二十日大根、カブラなどの種を蒔き終えていました。テレビ取材の申し入れがあったからです。わが家の菜園生活が9月に4日ほどかけて収録されることになりましたが、同じことならテレビ映りのよい状態まで野菜を育てておきたいと考えたのでしょう。

 火曜日はアイトワの定休日ですから夫婦そろって庭に出ました。1日がかりで私が長い畝を耕し、ブロッコリーの苗を植えたり余った部分に冬葱(わけぎ)の球根を植え込んだりしている間に、妻はラッキョウを収穫したりサツマイモの畝の除草をしたりしていました。ブロッコリーや冬葱のために使った畝は、それまではネギ、パセリ、ホウレンソウに割いていたところです。ブロッコリーの苗は義妹にもらい、義妹はわが家から嫁いだ冬葱の球根を植えたはずです。翌日も好天でしたから妻がラッキョウを取ったあとを耕し、堆肥と灰をタップリと入れた上でネギ苗を植えつけました。ちょうど今、トマト、トウガラシ、インゲンマメが盛りですし、モロヘイヤやツルムラサキがシーズンに入りました。ハナオクラの花も咲き始めました。7日の木曜日にカボチャの初物を収穫しました。

 間もなくトウモロコシが取れそうです。取材班が入る頃はトマトのシーズンは終わっていることでしょうがトウモロコシがまだ食べられる状態であってほしい、と願っています。ひと仕事をしたあと、焼いたトウモロコシを肴にビールで喉を潤してから夕食を始めるなんて姿は絵になるように思います。今は冷やしたトマトにかぶりついて喉を潤しています。10年前(皆でバブルが弾けたことを実感しはじめた頃)に、炎天下で汗や土にまみれて働き、トマトで喉を潤していると、「ご苦労さんです」と哀れみの眼差しで労を慰めてもらったことがあります。今では「最高の贅沢ですな」と羨ましがられます。

 現在の家屋敷は私の資力では到底手に入れられませんが、土地が安い時代に目星を着け、苗や種から時間をかけて樹木を育て、欲しくなる物件に創り上げたのがよかったと思います。こうした生き方を目指す人や、そうした人々の需要に応えようとする企業のために私は18年前からライフスタイル・コンサルタントを名乗りましたが、あらかたの人は出来上がった高価な物件を目にしてから欲しくなるようです。食料問題など、今から手を打っておけなければならないことがたくさんあるように思います。

 土曜日の朝。台風を追いかける形で岐阜に向かおうとしています。日曜日にかけてアイトワ塾の合宿です。岐阜は大雨との連絡が合宿に使わせていただく施設からありましたが、京都は雨が上がっています。台風は京都を直撃する形で夜半に通過しましたが、どうやら風の被害はなかったようです。オレンジ色の実が落ちていました。アリに食べられて穴が開いています。初めて見るヤマボウシの実のようです。


初物のハナオクラです。トロロアオイという植物の花で、エディブルフラワー(食べる花)の一種ですが、細かく刻んでかきまぜますと粘りけがでます。わが家では今年も納豆に混ぜ込んで食しました。トロロアオイは根にも粘液物質を含んでおり、和紙をすくときの糊剤の一種として使われてきました。

初物のカボチャです。昨年九州の都城の知人からカボチャを送ってもらいましたが、栗のように美味しかったので種をとっておきました。同じように美味しいカボチャができましたのでホッとしました。種がよくても土地が違うと美味しくなるとは限らないからです。煮つけて愛犬にも少し分け与えました。  

三種のトマトを2本ずつ植えつけましたが、大きな実がつくトマトがシーズンに入りました。チェリートマトやチェリーより少し大きな実が鈴のようにつくトマトを毎朝食しています。トマトは好きなのですが、なぜか私は皮とヘタの固い部分が苦手なので、皮をむき、ヘタをとってもらっています。

ヤマボウシの実が落ちていました。こんなに可愛い実がなるとは今日まで知りませんでしたが、妻に笑われました。私が先に知っていたらきっと妻にも教えてあげていたはずです。現実に、妻はまだ知らないものと思って私は教え、笑われたわけですから。14から18ミリぐらいの実で、ホンノリとした甘さの果肉は小鳥も大好きでしょう。

ムカデランが数ミリの小さな花をつけていました。風蘭のように柿の木の幹に活着しています。水平に伸びた幹の下側に張りついています。この柿の木の幹ではフウランやセッコクなど五種類の蘭が生活していますが、ムカデランもこの梅雨は雨水をタップリと吸ったことでしょう。
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