冬の備えと必須か選択か 03/09/16

 厳しい残暑が水菜や壬生菜の苗をだめにしましたからまき直しました。カキチシャは半日陰の苗床で発芽させ、畝に移植し、レース生地をトンネル状にかけて日陰を作ってあげました。サルスベリが今頃になって咲いています。7〜8月の冷夏で遅れたのか、ムクゲやススキと一緒に咲くなんて初めて見ました。冷夏と残暑のせいか全国的に「チャドクガ」の幼虫が大発生しているとのことですが、わが家でも、チャドクガではありませんが、蛾の幼虫が異常発生し、手の届かないスモモの枝などは丸裸にされました。

 うだるような暑さの中を、大学で教師をしている知人とその学生が訪ねてくれました。必修科目のあり方が話題となり、ここぞとばかりに私も持論を展開しました。時代は転換期にあるだけに学生の未来と社会の期待に係わる大課題だと思います。それぞれの学校は明確に方向や使命を打ち出し、その教育を徹底する上で不可欠の科目、特に意識改革や精神形成に不可欠の科目を必修にすべきだとの意見です。これからは多様性が大切になるはずですから、特色を明示せずに「学費さえ払ってくれたら誰でも学生」とばかりに受け入れ、雑多を多様性と誤解して「学生第一」を標榜すると、悪貨が良貨を駆逐するようなことになってレジャーランド化しかねない、との心配です。学校が選別される時代だけに、「大卒」のレッテルを大安売りするようなことは許されない、と思うのです。

 私はデザイン論を教える過程で次のような体験をしています。これまでのデザインはゴミの増大や資源の枯渇に係わり、デザイナーがもてはやされている社会ほど自然疎外や環境破壊や進めていたように見えます。だから、これまでのデザインの踏襲をあきらめ、循環型社会に適応するデザイン、つまり地球環境の復元に寄与する新しいデザイン、グリーンデザインへの転換を標榜しました。そして、環境問題や循環型社会が許容するライフスタイルなどを掘り下げる科目を必修とし、意識の転換を迫りました。その結果、相当の学生が、この科目は全学的に必修にすべきではないかとの意見を述べましたが、「先生にタレントのゴシップまで話せとは言いませんが、必修にする以上は皆が楽しめる内容にしてほしい」との意見もありました。そして前者の学生の中から、「どうして私はこんな(人がいる)学校に入ってしまったのだろうか」と嘆く人を生じさせました。そんなこともあって、環境問題に誠実に取り組む学生を排出する学校を標榜し、ISO14001認可取得学校となり、その線に沿って向学心を燃やす人を受け入れ、社会の期待に応えるための科目を必修にしたり共通科目を設けて全学生が受講できるようにしたりしました。

 収穫の秋を感じる季節となり、幾つ身があっても足らない心境にされています。この春に亡くした親友の奥さんから梨を届けてもらったり妻や私の友人からブドウをいただいたりしましたから、日中はこうした秋の味覚に舌鼓を打ちながら歓談とか読書や資料の整理などに当てていますが、涼しい早朝や夕刻は畑仕事や家屋の補修などに集中しています。ガスボンベ小屋の引き戸が動かないと思ったら「地蜂」が巣を作っていました。雨晒しになる木の手すりや戸袋などは、乾燥している間に発水剤を塗っておきたい。野草が種を結ぶ頃ですが、不都合なところに生えている野草は種を落とされる前に抜き去りたい。ヤブガラシに覆われた木を放っておくと枯らされかねません。義妹がキャベツの苗をくれましたから本植えする畝の用意もしたい。水菜や壬生菜を本植えする畝の用意もしておきたい。冬に向けて、手を打っておきたいことが山のようにあるのです。


梅雨時の多雨が幸いしたのでしょうか、好成績のコイモです。妻は10日から永田萌さんのギャラリーで個展が始まりましたからおめかしをしてお出かけです。個展が終わるまでの2週間はあまり私はかまってもらえそうもありません。手前はトウモロコシの跡を、キャベツ用に耕しました。

中国鳳仙花が盛りです。敦煌まで足を延ばした折に手に入れた種が居つき、自生種のようになっています。それを掘り上げて鉢に移し、テラスに飾ったりしています。ここに至る過程には小さなドラマがともなっていますが、それは嵯峨御流の機関誌『嵯峨』の9月号で紹介しました。

夏のうっそうとしたわが家です。樹木が莫大な量の水を根から吸い上げ葉から蒸散させ、気化熱として奪い、一帯を涼しくしてくれます。お蔭で居宅では冷房機を使っていませが、夜は夏布団を被って寝ています。冬は逆に、落葉樹(モミジ、モクレン、ヤマボウシ、サクラ、ウメ、カキなど)がすっかり葉を落とし、日当たりをよくします。

手の届かないところに伸びたスモモの枝は、毛虫に葉を食べられボンボロボンにされました。この葉がなくなった枝の下に、屋根にガラスを張った広縁があります。葉が幾重にも張っていた時は涼しい木陰となり、昼寝にピッタリでしたが、ほんの2日で一足早く冬向きにされ、灼熱下の温室のようになり、昼寝どころではありません。

幾年かに一度は発水剤を塗る作業をします。この大八車は妻が友人からいただいたものですが、花車として生かし、オープンカフェを飾っています。大八車(花車)に載せる木の箱(プランター入れ)は、あるお寺の解体修理からでた廃材を生かしたものです。それだけに大八車と共に大切にしています。

学内報です。私は学長となった年に授業評価制度を導入し、全学生の声をすくい上げることにしました。もちろん私も授業評価を受けました。その結果から学んだことを紹介した号です。多様性と雑多を混同したり自由をはき違えたりした学生に迎合し、学校をレジャーランド化させたくないと願いました。そうした願を込めて「授業評価を受けて」と題した印象記を表明しましたが、詳細はアイトワのホームページをご覧ください。

温室周りの除草をしましたが、ジネンジョ(自然薯)の蔓に種がついていました。ジネンジョはムカゴでも増えますが、それは親と瓜二つのクローンになります。他方、房のような白い花を咲かせ、昆虫に遺伝子の交配をしてもらい、こうした種を結びます。進化の可能性にかけるのでしょう。風でイヤリングのように揺れますが、強い風で時には遠くまで運んでもらうのでしょう。
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