遠方より友きたる 03/11/04

 大見で水をせき止める実験をしました。杉の下枝を切って杭を作り、前回の実験場で切りとったチマキザサなどをしがらに編んで泥を塗りつけ、せき止めたわけです。といってもほんの数センチ程度の水を張るだけですが、植生がどのように変わるのかを調べるわけです。昨年は119日に大見を訪れていますが、途中で雪が降りだし、一面の銀世界になりビックリしましたが、今回は好天で、ひと働きすると汗ばむほどでした。種をつけたマムシグサやヤマナシができていましたので一つづつもらって帰りました。

菜園では久しぶりに開墾の楽しさを味わっています。この10年あまり放置していたところをエンドウマメの畝にしようと考えています。エンドウマメは嫌地をしますから連作ができません。そこはかつてアスパラガスをつくっていた畝でしたが、アスパラガスの株を移動させた後はウドやミツバが勝手に生えていました。妻がすでに温室でエンドウマメの種をポットにまきましたので、過去数年間エンドウマメに使ったことがなくて空いている畝を探したのですが、頭が混乱し、分からなくなりました。そこで長年放置していたところに手を着けたわけです。これからはもう一度、いつどこに何を植えたのかが分かるように記録するノートを作ることにしました。

 展示会を覗いてきました。黒と白のモノトーンで帯地をデザインするかつてアイトワ塾のメンバーであった人の個展でしたので、有志の塾生に車で連れていってもらいました。なかなかのできでした。同じ感覚で壁面装飾も創っていましたが、きっとどこかのホテルのロビーなどで採用されるに違いありません。その後、わが家まで連れて帰ってもらうことになっていましたので、皆さんと野小屋ですき焼きパーティを開きました。ここで用いるハシゴをもらった人が一緒でしたから、これを幸に急遽開いたわけです。皆さんとてもお気に入りで、次は雪見をしながら、ということになりました。

 ヤーコンのお茶を飲み始めました。干しただけで飲むと少し青臭さが残りましたが、妻が炒って使いれますと「これならいける」となりました。以前に、沖縄出身の方がお土産に持ってきてくださったゴーヤ茶がなくなり、「あの苦さがなつかしいね」と話し合っていた矢先でしたので、ヤーコン茶の苦味がすっかり気に入りました。

 週末に都城の友人が訪ねてくれました。私より年上の女性で、紅梅園という梅干などの梅製品を作っている会社の創業者ですが、とても楽しい2日間でした。知り合って20年になりますが、これで会うのは三度目です。かつて私はシンボルマークを創って贈っている人ですが、それはとても厳格な方で、梅の有機栽培から始まり、非の打ちどころがない作り方をしておられたからです。その苦労談や工夫などを聞かせていただきながら杯を重ね、時がたつのを忘れてしまいました。翌日、菜園を見学してもらいましたが、一目で「微量金属が不足している」との助言をもらいました。その不安を持っていたのでニガリを手に入れていたのですが、もっと適切なものを送ってもらうことになりました。

 そのお返しではありませんが、わが家の庭から山椒の苗やヤーコンなどが嫁ぐことになりました。「ミヤコワスレの苗も少し入れておいてください」との所望でしたので、これを幸に、庭のミヤコワスレの株分けをすることにしました。ずいぶん長い間放ったらかしにしたままのところがあります。かってに媒介して増えている株も多く、どのような色の花を着けるのか分からないのですが、それがまた楽しみです。

 

大見で水をせき止めたところです。江戸時代の水田の跡だと思われますが、とても珍しい植物が生えていましたから、その繁殖が楽しみです。全員ボランティアですが、学生も泥んこになって実に楽しそうに汗を流していました。
元アイトワ塾生の帯地展の一角です。このモノトーンの作品群は、かつては相手にされなかったのですが、近年はファンが急増しています。彼にしかできない感覚と技能を要した創作ですから楽しみです。とても喜んでもらい、訪ねてよかったと思いました。
狭い野小屋ですが、鍋を囲む車座なら五人でも十分使えます。寒くなれば使えないだろうと思っていましたが、むしろ皆さんは「雪見酒を」との発想でした。次第にさっぱりした肉にするなどの工夫を凝らし、前回の若者並に平らげる醍醐味を再現したかったのですが、半分も片付かず、麩に人気がありました。歳には勝てません。
雑誌『自休給自足』から、「庭仕事に使っている取っておきの道具を2点」とりあげるように依頼され、躊躇することなく選んだのがこの2点です。共に鍛冶屋で打ってもらった代物ですが、鉞(まさかり)の代用もする斧の手に、私が彫り付けた昭和35年12月25日の日付が入っていました。大学3年生の時に、家庭教師のアルバイトで得たお金で打ってもらった当時のことまで思い出しました。
遠方より訪ねてもらえた友人と、朝食はテラスでとりました。妻は、「私もあと20年はかくしゃくと仕事ができそうだ」といって自信を得ていましたが、その秘訣の一つは有機栽培の梅を土鍋で一週間ほどかけて煮詰めた「梅肉エキス」だと教えられました。母が作っていたのと同じ製法ですが、含量成分が速成品とは大きく異なるようです。

紅葉の気配です。1995年5月下旬に植え付けたカエデの一種が、いつも一番早く紅葉します。栃木県の宇都宮に高名な精神病理学者をお訪ねし、土産にもらって帰った苗木ですが、植え付けた日に取材を受け記事にしてもらいましたから記憶が鮮明に残っています。拙著「このままでいいんですか もうひとつの生き方を求めて」を読んでいただいたのがきっかけでした。

左の写真をクリックすると拡大した新聞記事が出ます。

ヤマナシの実とマムシグサの種です。マムシグサはサトイモ科で、コンニャクの仲間ですが、毒草です。サトイモ科で毒を持たないのは私たちが食べているサトイモ(コイモ)とコンニャクだけだとか。わが家の庭には、コンニャク、ムサシアブミ、ユキモチソウ、サトイモ、マムシグサ、カラスビシャクなどサトイモ科の植物があります。