ユキモチソウと景観学会 03/11/16
大見でもらってきたマムシグサの種まくことから一週間が始まりました。橙色の果肉を取り除くと白くて丸い種が出てきました。それを手のひらの上に砂と一緒に乗せ、片方の手のひらを当ててジックリともみ、種の表面が小鳥の砂袋の中でもまれて傷がついた状態にしてから植木鉢に蒔きました。初めてマムシグサを人工的に増やす試みをしたわけですが、芽が出てほしいものです。マムシグサはコイモのような芋をつけますが、鉢で芋がそこそこ大きくなるまで育ててから地に下ろそうと考えています。
この仲間はとても面白い性質を持っています。発芽してから何年かの間は芋が小さくて、花をつけません。やがて芋が大きくなると花をつけ始めますが、オス花です。何年かオス花を咲かせながら次第に成長し、立派な芋に育ってから初めてメス花をつけます。花は共に筒状で,筒の底にオス花にはオシベがメス花にはメシベをつけています。だから、媒介する昆虫は頭からさかさまになって底までもぐり込み、蜜にありつくのでしょう。問題はその後です。潜り込んだ虫は、出にくいことでしょう。そこはオス花はうまく考えており、底に出口が付けて、花粉をもって出よいようにしています。ところが、メス花にはその穴がないようです。どうしてか、不思議です。虫の気持ちになれば、メス花には近づかない方が無難なようですが、オス花の蜜を吸うか、花粉にまみれてしまうと、メス花に近づかざるをえない心境にされる仕掛けがあるのかもしれません。ここらを研究したら面白いでしょうね。すでに研究した人があったら、その本に出会いたいものです。
マムシグサの仲間に、ユキモチソウとかムサシアブミやコンニャクなどがありますが、今年は庭のユキモチソウが初めて種を着けました。今はまだ緑色ですが、きっと12月頃には橙色になって熟れることでしょう。庭ではこれまでにコンニャクが一度とムサシアブミが幾度か実を着けたことがあります。いずれも橙色だったと思います。庭にはヤブレガサもありますが、これもサトイモ科ではないでしょうか。私の知識はすべて経験則ですが、いつの日にかは机の上でも知識も着けたいと思っています。
第五回の景観学会が京大会館で開催され、コメンテイターとして呼んでもらいました。大見の一件でご一緒している先生が二人もパネリストとして参加されていましたから、環境の時代を睨んだ村づくりを頭において、大見に対する夢を開陳しました。過去の京都の景観は上意下達でつくられたトータルデザインですが、大見では必然の要請が作らせる下位上達のトータルデザインであらねばいけません。その必然の要請とは何か。私は土地柄にそった設計で、地元の素材を用いて、循環型の生活が営めるようにすることだと思っています。美山や白川郷はその昔型が残っている例でしょう。
庭仕事は中断しています。異常が続いているので気になるのですが、次の本の原稿の追い込み中ですから、横目で睨みながら、「来週までごめん」と、心の中でつぶやいています。野菜は例年よりよく育っていますが、それがブロッコリーなどでは裏目にでます。
何百人もの教育関係者を前にして、講演もさせてもらいました。実際に役立つ力という演題でした。不透明な時代ですから、未来のある子どもたちには、どのような時代になっても役立つ力を授けておかないと、かわいそうなことになりそうです。ハウツーやテクニックではなく、魂の栄養になるようなものを授けたいものです。それは、答えのある問題を解く力ではなく、未知に挑戦する意欲や、希望を抱く心を育む教育です。
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