人や山菜で賑わう  04/04/25

 久しぶりで妻がフー人形を縫いあげました。フー人形とは、20年も前に誕生した縫いぐるみの「伯父さん」がオリジナルとなり、髭をとり、めがねをかけ、衣装を変えた「フーおばあちゃん」とか女の子や男の子が次々と生み出されたシリーズ人形です。その一つは今もアイトワの入り口でお客さんをお迎えしています。先月誕生した幼稚園の開園祝に作ってもらいました。

 久しぶりで2週間続けて土曜日にグループ見学が入りました。先週は、昨年スピーチに出かけた大阪のNGOの人たちでしたが、今週は京都に本部をおくNPOが、『次の生き方』の出版をきっかけに開いてくださった勉強会で、庭を見学したあと屋内でスピーチと質疑の時間を設けました。持続性のある社会に興味がある人たちの集まりだけに、40年来考えに考えてきたことや、試みてはしくじり、検証しては改めてきたことに質問がでていました。とても爽やかな天気でしたから小鳥のさえずりに耳を傾けながらテラスで昼食をとる人が大勢いました。

 今週の庭での初仕事は、クヌギ林の二次的な頭取りと、ヤムイモとアカイモの植え付けでした。2〜3年前に、15メートル余に伸びたクヌギの上部を、下部3〜4分の1だけ残して切り取りましたが、残した幹から芽吹いた枝を放っておけば20年ほどで元の木阿弥です。だから、三脚脚立に登って高く伸びた枝の頭を切り取り、枝を横に張らせるように剪定したのです。アカイモは、先週の見学者のお一人が昨年の今ごろ手土産にくださったものですが、4つだけ腐らずに残っていましたから種芋にしました。ヤムイモは、2年前に作りながら、種芋の残し方に失敗し、再度種芋を無心して植え付けたものです。まだ、種芋の残し方も数の増やし方も会得していません。

 日曜日の夜から広島の女性が22日まで訪ねて来て、来月も来たいと言い残し、大仕事をしたうえで帰って行きました。もう一人、通いの見習希望者が現れました。先週、アイトワのことを『自休自足』という雑誌で知ったという女性の訪問があり、月曜日から駆けつけてもらったのです。2日目は寝坊をして遅れ、3日目はほぼ順調でしたが4日目はスッポかし、夕刻にお詫びに来ていました。彼女は今、神経が疲れるアルバイトに午後を割いているようですが、『次の生き方』とその前著を読んだといいますし、アルバイトのスケジュールを調整し、週の後半は休めるようにして1日か2日はお手伝いをしたい、との希望です。

 火曜日は賑やかな1日でした。2人の若い女性に加えて、7〜8人の男性が3つの工事のために立ち働く庭に、予定外の来訪者があったからです。大垣で私の講演を幾度か聴いていただいた人がご主人と一緒に立ち寄ってくださったり、教え子が訪ねてくれたりしたからです。ご夫婦連れの対応をしている間は、2人の助手には草抜きをしてもらいました。教え子との対応は、見習希望者が帰った後でしたので一人前になった助手を交えてお茶の時間にしました。教育の意義や就職のあり方を1時間あまりにわたって語らいました。3つの工事とは、1日で済んだ太陽温水器の修繕とテラスの敷石の補修の他に、しばらくはかかりそうな記念の工事のことです。

 木曜日は、土曜日のグループ見学に備えた庭掃除の途中で、印象深い見学者がありました。長野の修学旅行生が立ち寄ってくれたり、まだ若い庭師が施主の希望を満たすためにアイトワの庭を学びたいといって訪れたりしたのです。金曜日は日帰りで大垣に出かけ、次週の催しについて市職員と打ち合わせたり、大垣市環境市民の集いに参加したりしました。土曜日は、グループ見学を受け入れた後、知人に誘われていたコンサートに出かけました。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に登場したパトリシア・コパチンスカヤに、芸術の偉大さを再認識させられました。モルダヴィアという初めて知る国の小柄で若い女性でしたが、会場を
魅了しました。



縫いぐるみ人形のフーちゃんです。テラスのシンボルである花車の側で撮りました。知人が園長となって開園した幼稚園で、今ごろは園児たちに可愛がってもらえていることでしょう。園児ぐらいのサイズですから、衣装を交換する子が現れるかもしれません。これを機に、再びアイトワのワークショップに、フー人形が並ぶかもしれません。

タラの芽です。庭にある野生のタラの木の一本が、タラの木にすれば巨木になり過ぎましたので切り取り、その芽を収穫しました。たぶんこの木は枯れるでしょうが、横に新たな木が2本育っていますし、数本の野生の他に、トゲのない3本の栽培種も育っています。
昨年アカイモをもらった人に送っていただいた朝掘りの筍です。この度の再会で、その人が孟宗竹の藪もお持ちだと知り、おねだりしました。隣の山菜はわが家で収穫しました。タラの芽の他に、ヤブガラシとコンフリーの芽やワラビが見えます。朝掘りの筍と採りたての山菜は夕餉の一品となり、投宿中の助手も交えて味わいました。

クヌギ林の二次的な頭の切り取りです。2〜3年前に頭を切り取ったまま放置していた状態(左)と、二次的な切り取り作業をした後(右)です。背の高い脚立に登って作業をしましたが、あと10年ぐらいは続けたい作業です。下に生えているフキやミョウガを痛めないように重い脚立を動すのが難儀なのです。

バイクで通えるところから参加した女性に、初日は鉈(なた)の使い方を教えました。鉈の他に、鋸(のこぎり)、鉞(まさかり)、斧(おの)、厚鎌(あつがま)など使い分け、木の伐採やそのさばき方を授け、何かを会得してもらいたいとも思っています。若い男の子にも、女性のように逞しい子が現れて欲しいものです。

夏のような炎天下で円形花壇の草抜きをする新入りの助手です。一人前になった方の助手には、2種の道具を使って周辺の笹や野草を取ってもらいました。その間、私は2つの脚立を使ってアイトワの入り口にある楓の剪定をしました。背が低いこんもりした木に仕立てています。

修学旅行生が訪ねてくれました。この中学生の20年後50年後を連想しながら、アイトワの庭で感じとって欲しいことを語りました。修学旅行は、未来への希望や未来の可能性を探るために生かしてほしいし、生かしてあげたい。私の著作や庭造りは、未来の可能性や未来への希望を探る試みですから、少しはお役に立ちそうです。