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創造の喜びと単調の反復
04/05/02
好天が思わぬ来客を誘ったようで、日曜日は愉しい一日になりました。アメリカを訪ねようとしていた人が、『次の生き方』を片手に名古屋から家族連れで訪ねてくださったり、拙著を読み終えたといって自転車を1時間ほど駆って訪ねてくだる人があったりしたからです。おかげでアメリカ旅行の回顧や、ウグイスがさえずる枝垂れ梅の下で意見の交換に夢中になりました。その合間を生かして、枝垂れ桜の痛んだ幹の治療や、お向かいからもらったワケギの根の植え着けをし、夕刻は妻とホビーショップやスーパーに出かけ、晩酌の肴とか夏野菜の苗やメダカなどを仕込み、翌日の段取りを考えながらマグロの刺身で一献傾け、上機嫌でやすみました。
金魚がまた居なくなりました。玄関や居間の軒先に幾つかの水鉢がありますが、その一つから金魚が立て続けに消えたのです。ハッピーがそばに居ますから、野良猫の仕業とは思えませんし、ハッピーは届きません。寝ている間に何が生じたのか、ハッピーが話せたらいいのですが、それは有り難い話しです。そこで金魚に代えてメダカに蚊の卵を退治してもらうことにしたのです。
月曜日は久しぶりで終日庭仕事に勤みました。初夏のような好天の下で、枝垂れ桜の枯れ枝の切り取りとか温室の日よけの紗かけ、自然生えのハナタバコの苗を生かした鉢植え作り、あるいは3時のおやつの時に翌日は大雨と予報で知りましたから樋に詰まった落ち葉掃除やビオトープの周辺の手入れなどをしました。夕
刻は買い求めたトマトやトウガラシの苗を植え付けたり種から育てたトウモロコシの苗を畝に下ろしたりして1日の作業を終えました。
火曜日は予報通りの雨でしたので、妻と車で「桂坂」に出かけました。拙著をお読みいただいた人の訪問を2週間ほど前に受けましたが、その折のお誘いにのったのです。私たちより一回り近く年配のご夫婦ですが、海外経験も豊かだし一緒に山登りもされるご夫婦でしたから話題が豊富で、あっという間に数時間が過ぎ去りました。桂坂は車で小一時間のところにある20年ほど前から開発が始まった高級住宅街ですが、バス通りから各戸に通じる緑道もありました。翌日は土がゆるみ草抜きが容易になっていましたから除草の日に当てました。種をつけ始めたオオイヌノフグリやハコベはもとより、花が咲き始めたヒメジオンやカラスノエンドウなどを抜きとり、竹薮に敷いて堆肥にする作業です。
木曜日は日帰りで大垣に出かけました。市が催した式典「緑の都市宣言」に緑化審議会長として呼んでいただき、市長と一緒に挨拶や記念碑の序幕とか記念の植樹をさせていただき、午後は市民ボランティアの植樹運動に参加しました。その後、気が置けない友人の家で少し一服させてもらいましたが、庭が緑であふれており、心まで安らぎました。夕刻は環境団体の仲間に設けてもらった祝賀会に出て、大勢の仲間と歓談し、ほろ酔い加減で帰ってきました。友人の庭には、原木が英国のキューガーデンにある一重の小さな花をつけるバラも茂っていました。
週末も印象深いものになりました。金曜日は、先週3日間にわたって庭仕事を手伝いに来た女性が約束通りに現れ、草抜きに精を出したうえで、「これからは金曜日毎に訪ねたい」と言い残して帰って行きました。土曜日は、二組の予期せぬ来客をえて歓談を楽しんだり、妻に手伝ってもらって「ムベ」の棚やその周辺の手入れをし、「ムラサキグサ」を自生させる試みに手を着けたりすることができました。今ごろは草抜きに多くの時間を割く時期ですが、私はこの単調な反復作業を通して創造の喜びに興味を抱く価値観や美意識を手中に収めたように思います。それが、消費の喜びの限界に気づかせてくれたような気がします。妻も、草抜きからエネルギーを得て人形創りという単調な反復作業の意欲を掻き立てられているようです。
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亡き父が戦前に景徳鎮で買ったというこの水鉢から、金魚が立て続けに消えました。いつも4センチほどの和金を買って入れていますが、他の水鉢や泉では10年余も生きて15センチにも育っています。その共通点は死んだ振りもするなど用心深いことです。70年近く前に船で海外支店に出かけていた父は、この水鉢をモダンなデザインだと思ってそうです。
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爽やかな好天で明けた月曜日は、都城の友が送ってくれた新玉ねぎと2種の蜂蜜を味わいたくて、久しぶりにパン食にしました。サラダは庭で採れたカキチシャとタンポポがベースです。濃い色の蜂蜜はやわらかくなっていましたが、淡い色の方は固まっていますから、夏までおあずけのようです。
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雨で明けた火曜日は、ウコギ飯をつくってもらいました。筍の煮付けは、毎年この時期になると幾度かにわたって孟宗竹の筍をくださるか人の二度目の筍です。ハナマメの煮物は東京の友が、イカナゴの佃煮は宝塚の友が、明太子は妻の母校の同窓会が、とそれぞれ顔のわかる人たちが送ってくださったものですから、心まで満たされました。
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女郎蜘蛛の子どもとナナホシテントウムシがいました。近頃はあまり見かけないので心配しているのですが、温室のガラスの前に巣を張った子どもの女郎蜘蛛を見つけました。その側の草むらにテントウムシがいました。この前、妻がアオガエルを見付けたところの近くです。
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野小屋にランタンを常設しました。30年ほど前に庭の竹で作ったランタンです。鋸とドリルとナイフで手早くこしらえた作品で、当時はグッドデザインだと思っていたのですが、眠っていたのを引っ張り出してきて生かしました。
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ハッピーのためにパラソルを新調しました。これまでの黄色と橙色のツートンカラーのビーチパラソルでは「暑苦しそう」と妻に聞かされていましたし、幸なことにホビーショップの安売り広告でガーデンパラソルを見つけましたからバーゲンハンターになりました。 |
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ムベの剪定をしていると、その棚の下にあったサツキ(左上)の植えこみが大きくなり過ぎていることに気づきました。小さな刈り込みに仕立て直すために切りこみますと、半日陰の小さな空間ができました。これを幸に、ムラサキグサ(円内)を自生させる試みに手を着けたわけです。この根が貴重な紫色に染める草木染めの原料になります。
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