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清豊と書斎の整理 04/06/13
一週間は雨で明け、なんだか嬉しくなりました。「梅雨に入ったら」と願っていたことがあったからです。それは「雨読」と、書斎や座敷の整理です。書斎は、『「想い」を売る会社』のために要した資料が未整理のまま、学校から引き上げた資料を放り込みましたから足の踏み場もなかったのです。だから座敷は『次の生き方』関係の資料に占領されていました。
ものを言い切ろうとすると、一抱えもの資料を要することがあります。私の場合は、自分の願いと異なるときは特にそうです。自己否定するような気分になり、まず自分を言い聞かせる必要があるのです。タバコの場合もそうでした。日に3箱も吸い、「禁煙の決心なんて簡単なこと」、「これまでに5度も6度も決心しているんだから」とうそぶいていただけに大変でした。まず関係資料を均等かつ丹念に集め、その未来が見え始めた時に、妻の単刀直入な助言を得て決意しています。おかげで、今ではタバコを側で吸われても平気なほどタバコ離れができていますし、日本で初めて禁煙喫茶店を始めた人と言ってもらえるようになりました。
この度の一文も、自分を納得させるために記したようなところがあります。未来社会が許容する方向を見定め、その方向に沿いながら豊かになる道を探ってきた私ですが、そこに「清貧」ではなく「清豊」の人生が待っていることを確信し、その方向で、つまりよい意味で、自分の首を絞めたかったわけです。結局その生き方が、未来の方から微笑みかけてくる生き方だと分かったわけです。あれこれとあがいて、神経をすり減らすような人生なんてまっぴらです。
ダンボール箱8個と一輪車4杯分の資料を、3日がかりで書斎から出しました。ダンボール箱の中身は、いつか読みたいと思って買ったマンガ『三国志』から、30年前に30万円も投じて手に入れながら使いこなせなかったブリタニカ百科事典に至る捨てがたい本です。ゴミとして一輪車で出した資料は、気晴らしか、ワラにもすがる思いで買い求めたハウツー型の本でした。要は、近道を求めて手を出しながら、結局は遠回りをさせられた本です。多くの探しものも出てきましたし、書籍の新しい収納の仕方も考えました。しかし整理は後日にまわしました。
水曜日が好天で明け、2日にわたって庭仕事に専念できたからです。「月見台」と仮の名をつけた造作物がほぼ完成し、これまでは想定していなかった視点から庭を見直し、周辺整備が必要になったからです。高台から見渡せる視界は、これまでは日陰になっていた裏側でした。だから、山のように剪定屑を出しながら、人の手があまり入っていないように手を入れなければならなかったのです。もちろんこの作業に専念したわけではありません。菜園に出てゴーヤやキュウリの蔓を吊り上げたり、トマトを支柱に結わえたり、ハナオクラをまく畝を耕したり、綿を育てる鉢を用意したりしました。雨に備えた樋着けもしました。その間に、「菜園家族」の集いで私たち夫婦を知ったという学生や、4年ぶりに訪ねてもらえたお客さんを九州から迎えています。
金曜日は、ある有名企業のトップとの約束がありました。2週間前に決めたアポイントでしたがおりよく台風がらみの雨になり、「ごゆっくりなさってください」とお迎えできました。お見送りしたあとは書斎にこもり、書棚の整理です。美術関係に大きな一角を割きしました。重い本を下に、踏み台に乗って出し入れしなければならない高いところに軽い本を並べることにしました。だから、たとえばロダン関連の本が4段の書架に分かれることになります。
土曜日の朝は、台風崩れの低気圧が遠ざかり、念願通りに雨が上がっていました。菜園の作業も待っていますが、夕刻には楽しい催しも待っています。今年もキヌガサタケが華麗な姿を見せそうです。今はまだマッシュルームのようですが、幾つかが姿をあらわにしています。
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6年前の今ごろしまい込んだアメリカから届いた手紙と小さなアルバムです。書斎を整理したおかげで出てきた探し物です。手紙に分類するのか、写真で分類するのかなど悩んだ末に見失っていたのです。こうした分類が難しい類のものが、とりわけ分類が難しい書籍が、大切な時代になっていることに気づかされました。
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完成した仮称「月見台」です。母屋の東側はゆるやかな崖ですが、そこに張り出すように設けました。樹齢40年ほどの数本のモミジが覆い被さるように茂っています。もはや剪定のしようもない大きさですから、月見ができる隙間が期待できるかどうかわかりません。間違いなくよい「昼寝場」になりそうですが、蚊帳が必要かもしれません。
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ミニ土木工事をした個所で樋が必要になりました。雨だれが跳ね返り、建具を濡らしたからです。床もコンクリート張りにして親水性をなくした弊害です。ここは通路になっていますから、「竜の髭」など雨だれの跳ね返りをふせぐ植物を植えた鉢植えを置くこともできません。やむなく樋をつけたのですが、見かけを大切にして改良されたはずの樋に機能面で問題点を発見しました。
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新しくした泉の金網です。バーネキュー用の既製の金網を転用し、2枚をつなぐのに10分ほどかけただけで完成しました。つぶされた金網は、10年近く前に作りましたが、円形の泉に合わせて竹の輪を作ることから始め、丸1日を要しています。その網が悲劇の引き金になりました。あわてて泉に飛びこもうとしたカエルが金網にぶつかり、モタモタしていたものです。そこを襲われたのでしょう。
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ハマボウウフウが届きました。友人夫婦がオホーツク海岸で潮風に髪を乱されながら、ゆうに半日はかけて採ってくれたのでしょう。湿らせた『オホーツク新聞』と『朝日新聞』に包まれていました。一緒に砂を掘って摘んだ日のことを思い出しながら、10軒ほどにお裾分けしました。
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紋付姿の蛾がやってきました。毎夜毎夜、初めて目にする蜂とか蛾とか、クモとか小さな甲虫とかの小動物が室内に忍び込んできます。朝はヒヨの声で目覚め、「チョットコイ、チョットコイ」と聞こえるコジュケイの鳴き声を経て「テッペンハゲタカ」と聞こえるホトトギスに続き、夜は「ホーホー、ホホ」のフクロウの声でふけます。
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めずらしいパンをもらいました。お坊さんが、天然酵母で作ったというパンです。すりつぶしたトロロイモやリンゴなどを混ぜたものに棲み付く酵母だそうですが、20年来使いつづけているといいます。ジャムはわが家の庭のブルーベリーを煮たものです。サラダの野菜は菜園から、ソセージやエスプレッソは友からのギフトフィフトと、顔がわかる代物です。
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