リコリスとマッチポンプ04/09/19


 傍若無人に振舞うイノシシのせいで、私は脳神経をやられたのでしょうか。ロシアの北オセチア共和国での大勢の子どもまで殺された事件が、気の毒を通り越して不気味に感じられます。この惨劇を列車の待合所にあったテレビで見ていた時に、チェチェンではもっと許しがたいことが繰り返されているのではないか、と呟やいている人がいたからかもしれません。 

 ついこの間のベトナム旅行では、自らの身体にガソリンを浴びせて焼死したお坊さんを映像で見てきました。火ダルマになりながら読経はつづき、焼けるお坊さんの側に若い女性が駆け寄ってひれ伏し、読経が途絶えてお坊さんは崩れ落ちました。当時の南ベトナム大統領夫人はこの訴えを「人間バーベキュー」と呼んで蔑みましたが、僧侶が次々と焼身自殺をしたり、ベトコンにくみする住民を増やしたりする原因に思いを馳せたり原因を取り除いたりしていません。

 ブッシュ大統領は、911をテロと一言で片付け、米国民の敵愾心や恐怖心を煽り、先制攻撃まで正当化しましたが、その前にすべきことがあったはずです。もちろんテロは正当化できませんが、自爆行為にまで走る異国民の訴えの究明と除去が先決ではないでしょうか。ロシア(プーチン大統領)までがアメリカの真似をして、先制攻撃を正当化しようとしていますが、不気味です。死人に口なしではありませんが、絶対的な力を有する人が、不都合と思う人たちの口を先手を打って封じうる権限を持とうとする心は不健全だと思います。このたびの惨劇や911で訴えようとした声が、この権限を手に入れたい人たちによって歪められているようで、無気味です。

 イノシシに襲われた庭の補修に手をつけ始めました。同時に、侵入された個所と原因を追求しています。問題は、イノシシの好物であるミミズを増やすような有機農法自体に原因がありそうなことです。農薬や化学肥料を駆使し、市場が求める虫食いのない作物をつくっている近くの農家の畑には、防獣ネットなどありませんが、入ろうはしていません。イノシシが好む無農薬有機農自体に原因があるのだとすれば、複雑な心境にされます。分かったことは、イノシシは防獣ネットを破って入ったのではなく、ネットの裾の緩んだ個所をこじ開けて入り、逃げるときに力任せにネットを破っていることです。

 火曜日の朝のことでした。妻はシーズンが終わった鉢植え植物をテラスから運び出し、庭仕事をしていた私のところまで運んできました。そのときに地下足袋を話題にしました。程なく私はカフェテラスが、朝一番に素敵なお客さんを迎えていたことを知りました。地下足袋姿の若い女性が出てきたからです。彼女は12枚コハゼの地下足袋を脱ぎ、親指が割れた靴下まで見せてくれました。ちなみに、京都では今、20人の若い女性が庭師を目指して修行をしているとか。

 先週まいた野菜の種がきれいに芽を出しています。これ以上雨が降らず、高温にならないことを願います。湿気過ぎた上に高温になると、芽が蒸れて腐りよくなるからです。今週は、ゴーヤの支柱も取り除き、跡を耕して人参の種をまきました。菜園は次第に冬景色になっています。ホウレンソウの種はまき直しました。ミミズや昆虫が大好きな有機肥料を大量に入れすぎたために、種をすっかり虫に食べられてしまったからです。

 今週は他に、さまざまな種をプランターにまいて野菜の多様性を楽しむ実験やメダカの新しい飼い方を試みる実験を始めたり、青シソの最後の収穫をして友人に届けたり、初めて参加するサークルに招かれたりしました。地元の学者やジャーナリストが主だった顔ぶれのサークルですが、楽しかった。恒例のアイトワ塾のガーデンパーティを開くために森のいろり場の掃除をし、塾生有志に手伝ってもらってテントを張りました。庭ではマンジュシャゲが満開です。

満開のマンジュシャゲやリコリスです。アイトワの庭には元々から生えていた野生の赤いマンジュシャゲ (虞美人草とか彼岸花など様々な呼び方があり、白い花もあります)の他に、西欧人がマンジュシャゲから改良した数種類のリコリスが生えています。これから増やそうと考えている花の一種です。

イノシシにアマナの球根などを狙われた個所を補修しました。半日かけた仕事の成果です。過日写真でお見せした惨状と見比べてください。アマナの球根が少しは残っているのか、来春(発芽の時期)が楽しみです。近頃のイノシシは昔のイノシシと違って、人間と同じで(賢くなったのか愚かになったのかは分かりませんが)根こそぎに取り尽くします。かつては、襲っても、根こそぎにすることはめったにありませんでした。
アンズの幹にサルノコシカケができました。抗がん剤としても重宝されているキノコですが、これを大きく育てたら木の方が弱ってしまいます。だから取り去りました。このとても固いキノコを乾燥させるとカチカチになりますが、それを割って煎じて飲むと、とても身体によいようです。まだ私は試みていません。健康的な食事をしているおかげでしょうか、その必要性を感じないのです。
やっと定期的に手に入るようになった無農薬有機栽培のセイロン・オレンジペコです。これからアイトワの喫茶店で出す紅茶も、この世界で最高級といわれる希少な紅茶、他所ではめったに飲めない無農薬有機栽培のセイロン・オレンジペコに切り換えることにしました。これはスリランカ旅行の成果の一つでしょう。

青シソが満開です。今年は青シソが豊作でした。3度に分けて無農薬勇気栽培の青シソを収穫し、シソの「ふりかけ」を造るのがお得意の友人のご母堂にお届けしました。二度目のときは自ら収穫にお出かけ頂きました。最後は、プチプチと舌さわりのよい「ふりかけ」になる花が咲き始めたところで収穫しました。

新しい試みを始めたプランターです。大根、ラディッシュ、小松菜、白菜、日の菜、コカブ、コウタイサイの種を、畑にまくときに少しずつ残しておき、プランターにばらまきしました。野菜の多様性を、目だけでなく、舌や鼻や耳などでも楽しむ試みです。

メダカを小さな水槽やペットボトルを使って飼い始めました。偶然ですが、妻と私の友から別々にメダカをもらいましたので、これを機に思うところがあって始めた実験です。一つは、計画的に数を増やし、大きな水槽で自活しているメダカの世界に、新しい血を加えるためです。もう一つは、小さな水槽でも持続性が期待できるメダカの世界が創れるのかどうかの追求です。