美味しい紅茶と大水 04/10/24

 アイトワの喫茶店では、スリランカ・ウバ地区の「ニードウッド」茶園で作られた紅茶を出し始めました。アイトワの庭では、庭で一番大きな木の葉、朴の葉が散りはじめています。季節は今、枝豆が美味しい頃です。だから、今年も朴葉味噌をつついたり、午後の紅茶を楽しんだり、送りものの紫頭巾でビールの杯を重ねたりして秋を迎えております。イノシシ坂に石を敷く作業は3日間にわたりましたが日曜日に終えました。こうした力仕事が他にないか、あればまだ力がある今の内に片付けておきたいのですが、今のところ妻には思いつかないそうです。

 月曜日は2人の若い女性の訪問を受けました。一人は自分で撮った写真を絵葉書にして売り出しており、他の一人はイラストレーター志望です。共に独学だけに個性が現れていましたから励ましました。アイトワのワークショップで写真の絵葉書を並べることにしました。翌火曜日は台風の予兆で雨になり、妻と予定していた庭仕事は流れました。だから妻はシホウチクや初夏にとって冷凍保存してあった山椒を取り出して佃煮作りに、私は講演のレジメ作りに集中しました。

 水曜日は朝から台風23号、10個目の上陸台風に備えました。中国ホウセンカが咲き終わった畝を月曜日の間に耕し、堆肥と灰をたっぷりと入れておきましたが、妻は雨の合間を見て白菜の苗を植えつけていました。これだけあれば、この冬は毎夜のように鍋物をしても白菜不足にならないでしょう。でも何が生じるか分かりません。この夏はさんざんの年でした。カリン、ムベ、桃は実をつけず、ミカン、柿、キウイフルーツは数えられるほど、樫やクヌギもドングリをほとんどつけていません。これからまだどんな異常が生じるかわかりません。

 大雨でした。事前に下水管の根詰まり問題などは片付けておいたのですが、山手にある違法建築の家から流れ込んだ水が大暴れし、畑を冠水させそうになったのです。隣の池の一部を不法に埋めて道を造り、その池の水の涵養地として古人が設けた沼地を不法に埋めたために生じた問題です。以前にも私の留守中に似た被害を受けており、対策を講じてもらったのですが、その配水管が落ち葉などで詰まっていたようです。急を要しましたから、妻と2人でスコップやツルハシを振り回し、溝を掘り、隣の池の方に流すようにしました。本来は涵養地から直接池に入っていた水です。これから何らかの自衛策を講じないといけませんが、思わぬ大仕事ができてしまいました。もちろん、大雨が降っている間に、切り石を敷いたイノシシ坂の点検もしましたが、土が流れるのを止める効果を十分に果たしていました。それにしても水害地 気の毒です

 木曜日は朝一番から前の道の掃除と畑の応急手当で大汗をかきました。前夜の吹き返しはそうとう強かったようです。道には一輪車4杯分の落ち葉や小枝が落ちていましたし、畑ではツルムラサキが支柱ごと倒れ、コイモとヤーコンはこれからイモが太る時なのに共に倒れていました。応急処置として竹の支柱を立てて元に戻しておきましたが、根がそうとう傷んでいますから期待薄のようです。夕食は、おでんでした。倒れたズイキを拾ってきた妻が、未成熟の頭イモを生かしたわけです。それにしても異常気象です。人災だと思えるだけに残念です。

 週末は、このところ密度をあげて会議を重ねている顧問先の訪問準備や来客に追われましたが、寸暇を惜しんで庭掃除をしました。山のように溜まった落ち枝や落ち葉を燃やし始めると、妻がサツマイモを持ち出して来て入れてくれました。このところ、妻は庭掃除をしながら落ち葉や落ち枝で風呂を焚いていますが、木の種類ごとに燃える音が異なるのを楽しんでいる、とのことです。新潟の地震も、気の毒です。アイトワ塾では処女作の検証がまもなく終わります。



朴葉味噌です。庭で拾った朴の葉の上に、一昨年漬け込んだ味噌を敷き、ありあわせの野菜や肉などを細切れにしてのせ、畑のねぎを刻んでまぶして焼きました。ほどよく火が通ったころあいを見てかき混ぜれば食べごろです。少しご飯が進み過ぎてしまうのが問題です。

妻の親戚が送ってくれた「紫頭巾」です。枝からサヤを取る役目を買って出たのですが、なんとめんどうくさい作業かと思いました。いつも食べるのは私が専門で、一つ一つ口に放り込むのがめんどうくさいと思ったことはありません。だから、子どもには芋掘りをさせるのではなく、イモの苗植えをさせないと教育効果は上がらないだろう、と考えながらサヤを取り終えました。
「ニードウッド」茶園は、森に囲まれて孤立している点を生かし、1985年から化学物質の使用を止め、1987年から有機栽培に切り替えており、オーガニックの世界最高級紅茶、オレンジペコやBOPです。権威ある多くの機関からお墨付きをもらっているといって認定書のコピーを届けてもらいました。もちろんJASの認定も受けています。
切石を敷いたイノシシ坂です。少し石を買い増して蛇行させ、堅苦しさを柔らげながら、大雨で土が流されないようにしたわけです。でも、イノシシは困ることでしょう。切石を敷かれただけでも走りにくいはずですが、猪突猛進にはこうした蛇行はむかないはずです。

倒れたヤーコンです。昨年はヤーコン茶を作るために今頃葉を収穫しましたが、イモが入っていませんでした。霜にやられたあとの葉ではお茶には問題がありますから、霜が降る直前に葉を刈り取れば、イモも大きくなっており、ベストタイミングなのだがと考えていましたが、これで葉もイモも期待薄になりました。

コイモもやられました。妻は倒れたズイキを拾ってきて、悔しそうに「干しズイキを作ろうかしら」と、抜き取ることを考えましたが、私は押しとどめました。竹の支柱を立てて元に戻しておくことにしたのです。完全に根が切れていたわけではありませんから、植物の復元力にかけてみることにしたのです。

本来は小倉池の水をたたえるために設けられていた山水の涵養地からわが家に流れこむ水の一部です。それまでは蛍やミヤマカワトンボの繁殖地でした。人間には開発でも、自然から見ると破壊であることがよくあります。それが積もり積もって、弱い動植物から被害を受け、やがては人間におよびかねません。