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「やもお」と落ち葉と特攻 04/12/12
アイトワ塾の合宿では、38億年前に地球上に現れた最初の生物は今も分裂し続けて生きており、元来の生物には寿命がなかったことを知りました。そのバクテリアから進化する過程で私たちは分裂を止めるブレーキ機構や死の機構を手に入れており、死ぬのではなく死ねるのだ、と考えた方が理にかなっている。だが今も、細胞レベルでいえば、私たちは分裂し続ける癌細胞に悩まされているわけです。「老化と寿命」と題する2時間ばかりの講演に塾生は聞き入り、その後のアルコールを交えた質疑は12時まで続きました。窓を通して激しい雨音が聞こえていました。
夜半の大雨は翌朝にはほぼ上がっていましたので朝飯前の散歩に出ると、民宿の近くに「掟」と題した観光用の高札が立っていました。その一条で「鰥寡をいたわる」ようにとあり、寡は「やもめ」だが「鰥」は何か、となりました。戻ってポケット辞典で調べると「歳をとって一人身になった男=やもお」とありました。朝食でも質疑に花が咲きました。帰途は遠回りをして常照皇寺まで案内してもらい、道中で黄色や赤茶色に輝く山並みのブナを楽しみました。
実は先週末に、ご近所ですばらしい男性を癌で失いながら、土曜日夕の通夜も日曜日午前の告別式にも私は出られませんでした。ひと月ほど前に庭でとれたシイタケをお届けした人ですが、妻は「それは見事なご臨終であった」と伺っていましたし、ご自宅の通夜では庭のコケの上に落ちた白とピンクのツバキの花が見事に映える光景を見てきていました。別途、私はご焼香に伺いましたが、慕う伴侶を亡くした奥さんの姿に心を打たれながら、異常なまでに花をつけたという白の侘び助と赤い獅子頭が、竜のひげの上を覆うばかりになっていた痕跡を見届けました。
月曜日は早朝からスモモの剪定に手をつけましたが、楽しい訪問者がありました。関東の大手電子機器メーカ−の人が、大阪での講演のついでに立ち寄ってくださったのです。かつて私の講演に耳を傾けてもらったり幾冊かの拙著に目を通してもらったりしていたおかげか、環境問題との取り組みをライフワークに選んだり何百坪かの農地を借りて野菜造りなどを始めたりしている人であったおかげで、10数分の立ち話がとても充実した時間となりました。
火曜日は久しぶりで妻と手分けをして終日庭仕事をしました。秋の観光シーズンが終わり定休日が復活したのです。私はスモモの剪定を仕上げた上でカフェテラスにある大賀ハスの大きな水鉢の土を替えました。妻はスモモの周りの掃除をした上でテラスの拭き掃除です。ハス鉢の土替えで汚れた石張りのテラスは、水で流し去るより雑巾で拭き取る方が手早く出来るようです。
週の後半はスモモの周辺の掃除で出た夏草の残滓を灰にする作業や剪定で出た枝の整理、あるいは落ち葉掃除やこまごました大工仕事に追われました。畑ではコイモの跡を耕して小松菜とラディッシュの二度目の種をまきましたし、大賀ハスのレンコンをお分けする人のために春まで保存する手はずも学びました。外出もありました。顧問先の会議などで大阪には2度も、商社勤めの頃の友を交えた忘年会で広沢池の辺へ、親子を対象とした環境教育の講師として岐阜羽島に、など。こうした外出の道中を生かし、ポケット版の『指揮官たちの特攻』を読みましたが、10代で死んだ若者やその命をもてあそびながら長寿をまっとうする人の姿をしのびました。
この一週間は、都城の友から手作りのさまざまな野菜を、アパレル時代の友の一人から生牡蠣を、北海道の友からカニを、妻の友からお好み焼きの材料を、と新鮮な間に食した方が良いものを届けてもらいましたし、埼玉などの三人の友が計50キロもの米を、『次の生き方』がきっかけで知り合った人から3冊の買い求めたかった本を、アイトワ塾生の一人から飛騨土産にと超辛口の2本の清酒を、と正月用に仕込んでおきたいものも次々と届けてもらいました。
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先週末に、畑の一角に埋め込んだ排水管に蓋を取り付けています。災害は忘れた頃にやって来るといいます。その時にパイプが詰まっていて慌てるようなことがないように、常は蓋をしておくことにしたのです。ところがその蓋を、妻は私が合宿で家を空けていた夜の3時にとっています。それほどの大雨が降り、水が溜まっていた、というのです。
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合宿の帰途に立ち寄った天竜寺派の禅寺、常照皇寺(じょうしょうこうじ)です。すっかり冬景色になっていました。この寺は、天皇が南北朝の二派に分かれて争った北朝の初代上皇光厳院(こうげんいん)が、北の貞治元年、南の正平17年、つまり西暦1362年に開創しています。
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合宿から帰ると都城の友から美味しそうな野菜が届いていました。妻が「あちらにはホウレンソウを食べる虫がいるのですね」と驚いています。わが家の庭にはいないのか、ホウレンソウが虫に食われたことがありません。温かいダイコン料理が楽しみです。
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落ち葉がきれいな一週間で、金太も大喜びでした。落ち葉を愛でる私たちはこうして残しますが、それを愛でるために庭にさまよい込んでくださる人がいるかと思えば、ゴミとしか見ない人もいます。だから、老人をゴミのように見ていたぶる人が増えるのでしょうか。写真をクリックしていただくと、私たち夫婦の落ち葉の見方に触れています。
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スモモの切り取った枝です。例年のようにこの1年の間に伸びた枝を切り戻すだけでなく、写真のように数年前の太い部分から切り取るなどして一回り小さな樹形にしました。切り取った太い部分は残して乾かし、風呂を焚く燃料にします。今年伸びた細くてまっすぐな枝は切り取って燃してカリ肥料にします。
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数年前から庭にくわわった楓の一種の葉です。数年前にもらった苗から育てています。まだ背丈は2m程度ですが、カツラの側の一本が見事に紅葉しました。木陰のテラスの側にも一本あるのですが、その方はうまく紅葉せずにすでに散ってしまいました。
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有毒のムサシアブミが着けた種が、すっかり熟れて赤くなりました。毎日のように小鳥が来て食べるようで、10粒ほどずつ減って白い肌が広がっています。その事情を知った関東からみえた大手電子機器メーカ−の人は「私たちも食べられるのでしょうね」と目を輝かし、妻は「どの子が食べるのかしら」と首をひねりました。
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