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アイトワ循環図

もう春です  05/02/27

 父の13回忌から一週間が始まりました。姉と弟の他は、父方と母方の一番近しい人にしか声をかけない方式をとっていますので法事はこじんまりしていますが、このたびは姉が久しぶりに日野市から出て来てくれましたからとても賑やかでした。嫁いでからすっかり体が弱くなったという10歳年上の姉ですが、これが最後の法事になりそうだと語っていました。

 月曜日も好天に恵まれましたので、庭に出てクヌギ林の剪定に手をつけました。すでに林というには当たらないほど間伐して本数は減っていますが、「森の囲炉裏場」という呼び名をつけたところの木立ですから、それなりにカッコウのよい木陰を作らせたいのです。幾年か前に背丈を三分の一に縮めましたが、12段式三角脚立と二段式伸縮ハシゴで届く範囲内に背丈を抑えようとしています。この高さなら、あと10年ぐらいは私の手で剪定ができそうです。夕食は、鴨鍋でした。毎年鴨肉をとどけてもらう友がいるのですが、その鴨と太い(周囲13cmもある)鷹ガ峰ネギを生かしたわけです。「鴨がネギを背負ってくる」という諺がよく理解できたように思います。

 火曜日は、春のようでした。午前中は大覚寺に出かけ、華道にとっては画期的な試みではないかと思われる企画、日本各地の風土に生け花とエッセーを共鳴させる企画について手合わせをし、その上で可憐な乙女百合が一つの「テーマ」に沿って活けられる過程を見学しました。エッセーの担当者として、この「生け花」と共鳴する「エッセー」はすでに寄稿済みですが、校正の段階で少し手を加えたくなりました。午後は庭に出て、クヌギ林の剪定の続きをしたり、畑の草抜きをしたりして過したのですが、日が長くなったものです。6時まで庭で動けました。

 次の日は岐阜県の瑞穂市に出かけ、知人が園長を務める保育園を訪ねました。シュタイナー教育に精通したドイツ在住の日本人が来日し、講演をすると聞いたからです。このところ、小学校の卒業生が母校の教師を殺傷するという事件があったかと思えば、西部鉄道の前社長が自殺するなど、少し暗い気持ちになっていたのですが、帰途は明るい表情になっていたはずです。

 わが家の庭も、もう春です。ヒメオドリコソウが咲き始めていますし、梅が咲いています。シイタケの春子も出始めていますし、待ち遠しかったフキノトウも頭を出し始めました。奄美の知人から、春の知らせ、タンカンも届きました。夕刻、新キャベツが届けられました。1986年に人形工房の喫茶室を喫茶店にするように提案した主婦は、19年後の今も喫茶の主要な人ですが、2年前から広い農地を借りて家族と野菜つくりに手をだしており、私より上手になっています。

 木曜日は朝方から時雨れがちでしたが昼は庭で大仕事をし、夜はアイトワ塾で新しいテキストに取り組み始めました。庭仕事は、山桜の邪魔をしていた5本の太い竹を切り取る作業でした。普通の竹なら、周囲の竹や木とからみあって生えていても、切って引き抜くようにして切り出せるのですが、直径15cmもある竹ですからそうはいきません。ダルマ落としの要領で1.5mぐらいずつ切り取りながら短くしましたが、一本の竹に9回も鋸を入れる始末でした。念のために長さを計ってみると18mありました。夜は、塾生と『次の生き方』のプロローグを題材にして深夜まで歓談したのです。この拙著で提唱の是非も、お互いに生きている間に確かめられることでしょう。

 アイトワでは冬休みが終わり、21日から再び庭を開放しています。このところ、外出の用がない限り午前中は屋内作業にあて、午後は雨が降らない限り日没まで庭に出て、夜は風呂焚きを担当しています。週末の午後は、温室で日本サクラソウの植え替えをしたり、鉢植えの枝垂れ梅やアネモネを喫茶店のテラスにデビューさせたり、若いカップルを迎えてクヌギの剪定クズを手分けして片付けました。これから妻と明倫小学校跡で開かれた煎茶パーティーに出かけます。


剪定する前(左)と後のクヌギ林です。高く徒長した元気な枝を切り落とし、森の囲炉裏場にほどよい木陰を提供するように枝を低く張らせて、パラソルの代わりをさせる剪定です。その主要な枝を上手く張らせることができれば、後は毎年伸びる小枝を切り取るだけで済むようになるはずです。

上の剪定作業で出たクヌギのクズ枝です。このクズ枝で、冬でも一週間は風呂が焚けるのではないでしょうか。週末に、若いカップルと3人で、この枝の山をさばき、小枝や葉は焼き芋つくりに生かしました。庭にある200種の樹種の中では。クヌギが薪材には一番適しています。

ダルマ落としの要領で太い竹を切り取っている過程です。すその部分を次々と切り取ってゆき、そのつど上部をストン、ストンと落としてゆきながら、短くしていったわけです。
一本分の切り取った竹です。これから雨晒しにして干し、2〜3年ほどかけて油分を抜いてから、さらに細かく切って、割り、風呂焚きなどの燃料にします。竹細工の才能がある人なら、この竹をどのように生まれ変わらせるのだろうか、と考えました。
背の高い竹を切り取る前と後の写真です。竹が18mであったことから計算するとこの山桜の大木は、背丈が20mほどある計算です。小鳥の糞から芽生えた実生ですが、今年は見事な花を観賞でるのではないでしょうか。実生の桜は、一本一本個性が異なりますから、興味が尽きません。

まだ固そうですが、庭で芽を出したフキノトウです。クリックしていただくと、フキノトウ茶漬けを待ちわびる小文がでます。『自活のススメ』は、すでに15回目になりました。
写真をクリックすると
『自活のススメ』2005 2 25の記事が出ます。

この立派なキャベツと白菜は、アイトワの喫茶室を喫茶店にするように提案した女性が、ご主人の助力を得て育てたものです。わが家では同じキャベツの苗を植えつけてあります(右)が、日照不足と、小鳥についばまれたせいで、元の苗と変わらぬ大きさにとどまっています。