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約束の苗木 05/04/17
こんな嬉しいことがあってよいのでしょうか。日曜日の朝、出かけようとしていたときに鳥取県の日南町から宅急便が届き、中から小さな苗木が出てきたのです。すぐに何年も前の約束を思い出しました。それは生活改善を目指す女性たちに講師として招かれたことから始まっています。一面雪に覆われた日のことでした。宿泊したところから大会場に車で移動している途中で、すっかり葉を落とした一本の木が目に飛び込んだのです。なだらかな山すその中腹にあった畑に、ぽつんと立っていました。樹形はモミジですが、枝という枝がことごとく真っ赤でした。
苗木には手紙が添えられていたのですが、夜分に帰宅してから読みました。当時の日南町婦人グループの会長さんの手紙でした。平成12(2000)年3月5日、母が死ぬ3ヶ月ほど前のことですが、日南町と同教育委員会が後援した「女性の町づくり大会」に招かれたのです。講演の後でご案内いただき、会長さんはモミジの持ち主と顔見知りでしたから言葉も交わせました。その後、こうして苗木を届けてもらうまでに色んなことがあったのです。「あげるけえな」とか「忘れてはおらんけえ」と気にかけてもらった持ち主の家族に、次々とご不幸がかさなったのです。このたび、これでやっと約束がはたせた、と言ってもらえたと手紙は結ばれていました。
当時を振り返ってみますと、このモミジと出会う2ヶ月ほど前に私はある総会に招かれています。そこでの講演が縁で、大本山大覚寺の華道・嵯峨御流から機関紙に投稿する機会を与えられています。その嵯峨御流は、このたび「シンポジウム ニッポンノケシキ in 京都」を開催しました。そのシンポジウムに出かけようとしていたときにこのモミジの苗木が届いたのです。これも何かの縁だろう、と考えました。嵯峨御流は日本の景色を守る環境保護活動に立ち上がり、京都勧業館に参集した1800人を前にして画期的な「華道家行動宣言」をしたのです。C.W.ニコルさんの特別講演から始まり、私もパネルディスカッションの一員に加えてもらいました。
この赤い木肌のモミジに出会った日に、今は亡き持ち主と交わした言葉も思い出しました。その後日談もあるのですが、それらは後日に回し、あとは好天に恵まれた一週間の庭仕事ぶりについて触れたいと思います。インゲン豆とトウモロコシの苗を定植しました。コイモの種芋とヤーコンの無性芽を植えつけました。モロヘイヤの種を苗箱に播きました。ツルナとニンジンとエゴマの種を直播きました。ポットにまいたカボチャ、ズッキーニ、キュウリの種も芽を出していますが、これらはもう少し大きくなるのを待ち、下旬に定植します。その頃は、ゴーヤの直播きをしたり伏見トウガラシやトマトの苗を買って定植したりする時期です。
エゴマはオオバに似た葉を生食できる(一昨年の韓国縦断旅行でおぼえた)だけでなく、種をゴマと同様に使えることを知りましたので定番品種にしようと考えています。ツルナは始めて試みる野菜です。これまでは暑さや虫食いに侵されにくい青葉の夏野菜としてツルムラサキとモロヘイヤを定番にしてきましたが、ツルナを加えてみることにしたわけです。ツルナの他に、今年はもう一つ新開発品種の野菜に挑戦します。その苗の手配を専門家の友人に頼みました。
来客も多様でした。転勤の挨拶あり、講演の下打ち合わせあり、顧問先や知人からの相談事もありでしたが、晴れた日は桜の下まで喫茶の出前をしてもらって会話を楽しんでいます。エンジン式のチエーンソーを初めて用いて太いクヌギも切り取っています。一日だけ雨でしたが、その日は庭仕事の七つ道具をいれる手提げカゴに細工を施しています。これで七つ道具の出し入れが楽になるだけでなく、危険性も少なくなるはずです。庭のイモリが冬眠から目覚めたようですから弁慶も起こしたのですが、まだ食欲がありません。
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背丈26センチの小さくて細いモミジの苗ですが、見覚えのある色合いです。少なくとも一年間は鉢植え状態で目に付くところに置いて育て、少しおおきく育ててから地に下ろそうと考えています。日南町では「役割を得て、楽しく暮らす」という演題で話を済ませた後、この苗木の親木が生えていたところに案内してもらっています。
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ワラビの収穫をしました。わが家の庭の一角にある「ワラビ道」と名づけたところで、4月13日に収穫しました。これだけあれば夫婦が二人で食する一回分の一品の惣菜にちょうどよい分量です。お揚げと煮てもらいました。年に二回は収穫します。庭には「ゼンマイの崖」もあります。
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タケノコを頂きました。毎年初収穫のタケノコを味あわせていただく方が、今年も朝掘りの見事なものを届けてくださったのです。夫婦二人にとっては数回分以上の惣菜になる量ですが、好物ですし、すぐに湯がかないと値打ちが下がりますから、全部自分たちで味あわせてもらうことにしました。まず若芽と煮てもらいました。
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サクラが満開です。京都のサクラ、ともいうべき紅枝垂れ桜を4本植えていますが、その木の下に折りたたみ式の椅子を持ち出し、来客をもてなしています。励ましたり、これからの人生を語ったり、こんな日本であってほしいと願ったりしながら、ちらほらと降り注ぐ花びらを楽しんだわけです。
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イモリがガス管の側の乾いたところをのこのこ歩いていました。子どもの頃は庭の池や一帯の小川や水田などにたくさん棲んでいたのですが、農薬の空中散布で姿を消しました。その後、三箇所から幾匹かづつ持ち込んだのです。冬眠から目覚めたばかりで寝ぼけていたのかもしれませから、住処にさせているビオトープにもどしました。だから「弁慶も起こそうか」となったわけです。
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細工を施した庭の七つ道具カゴです。とりわけ鎌や先のとがった草取り道具を取り出すのが危険でした。その収納方法に知恵を絞り、乾麺が入っていた桐箱を生かしました。桐の木は軟らかいから細工が楽だし、軽いから持ち運びにも楽です。これで出し入れがとても簡単になり、出来栄えに満足しています。死ぬまで付き合うことになる道具でしょう。
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エンジン式のチエーンソーで切り取ったクヌギです。2年ほど前に頭の部分を切り取ったクヌギですが、太くなりすぎていたうえに日陰でしたから、新芽を出しながら1年で枯れました。腐る前に残していた部分を切り取って燃料にすることにしたのです。側に、この木の日陰にされて大きく育てなかった木がありますから、それが日の目を見ることになるでしょう。
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