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魚とネコ 05/07/10

 恵みの雨が転じて災いの雨になりそうな週の始めでした。強い雨の中で、犬の餌やりと新聞とりのついでに庭や温室を見回りましたが、気になることが次々と目に飛び込んできました。きれいな白い花をつけたニンジンが雨で倒れている。温室でまいたポットのインゲンマメがモヤシのようになっている。日照を制限する紗で育てていた野菜が、蒸れて腐っている。

 犬の餌やりも一苦労でした。金太は雨を嫌って、餌を半分ほど食べ残しました。残した餌をハッピーにやりながら、金太の餌やりのために屋根をしつらえようか、それとも傘をさせるようにすべきか、と思案しました。飛び込みの来客がありましたが、他は妻を迎える準備に当てました。玄関や風除室の掃除や玄関を飾る吊り鉢の手入れです。道案内版も仕上げておきたかったのですが無理でした。水溶性ペンキを用いたために乾燥に時間がかかり、作業が捗らなかったのです。

 来客は、産地の人たちを励ます講演の依頼でした。快く引き受けたものの少し躊躇しています。かつて「ネコと魚」の話に触れたと思いますが、「魚をくれる人」を優しい人と思うネコか、生きる力を削ぐ怖い人と思うネコかによって話は変わります。「魚の捕り方を巧みにする人」も私には怖い人です。それが資源枯渇問題などを加速させたのでしょう。私は「魚の生態を教える人」を慕いたい。どうあれば永続的に生きてゆけるか、その知恵や力を授ける人が大切です。

 妻の帰国時間は随分遅れました。前日、タイ国から大きな宅急便が4つも届きましたから愉しい旅になったことは予測できましたが、少し心配になりました。関空に着いてから同行者のトランクが出てこないなどトラブルがあったようですが、旅はとても充実していたとか。それはメンバーが愉しくておおらかな人たちであっただけでなく、リーダーが並外れた資質の持ち主であったからでしょう。買い物を面倒がる妻ですが、創作意欲をかきたてられ、買い物に夢中になったようです。一息ついた妻によりますと、金太は雨季が一番嫌いだから雨のときは餌を小屋の中に入れて食べさせてきた、といいます。それなら出かける前に言っておいてほしかった。

 久しぶりで九州に出かけました。ある大学の教養講座の先生方が組まれたプログラムの一環でした。着いた日はドシャ降りでしたが副学長に郷土資料館やお城を案内していただき、有機野菜が自慢のレストランで夕食までご馳走になりました。晴れ上がった講演当日は、学長に昼食をご一緒していただき、話しに花を咲かせました。講演の後、教養講座の先生方に打ち上げのパーティーまで開いてもらい、帰途は駅のみやげ物売り場で好物を見つけることもできました。

 週の後半は、日が射したかと思うと雷雨になるような荒れ方でした。晴れ間を見て、まずゴーヤの棚を完成させました。こんな育て方をしたいと考えていた棚です。もやしのようになっていたインゲンマメの本植えや大雨で溢れていた樋の修繕などもしました。妻は臨時の教室を開き、大阪教室の方々を迎え、旅で明けた穴を埋め合わせました。初めてお迎えする方々でしたから、二人で門周りの掃除もしました。他に、道案内版を完成させて元の位置に戻しています。

 G8が開かれていた英国で、許しがたいテロがありました。でも、テロを憎むだけではいけないと思います。愚かな指導者は大衆操作の具にしかねません。テロリストにすれば、私たちが許しがたく見えかねない点を問題にすべきです。たとえば、アメリカが無駄にしている食糧が6億人分の、日本のそれが1.5億人分の飢餓前線にある人々を救う食糧に相当するなど。要は、私たちは世界のすべての人が真似たら地球がたちまちパンクする生き方をしており、それを護持しようとしていますが、それ自体が緩慢なる自殺行為をしている恐れが十分にあります。G8では魚の生態を論じ合い、土地柄にあった持続性のある生き方を互いに尊重しあい、戻る道を探るべきです。

ついにキヌガサタケは一本もまともに育ちませんでした。梅雨の全般はカラカラでうまく傘が広がらず、後半はドシャ降りで傘を広げる前に倒れて腐ったようです。これがその端境期に、一番まともに育った一本です。いずれも胞子をうまく飛ばせなかったようですから、来年は不作かもしれません。

九州で見学した民芸館の一角で、農民の衣服です。農民が自ら綿を育てることから始めて作った衣服でしょう。当時は9割の人が自己完結性に富んだ生産活動に携わりながら、その主たる産出物を、たとえば農民は米を、織り子は錦を、自分たちのために消費できなかったわけです。

見学した城の一角に見た武士がまとったものです。農民を守るような顔をして、寄生している農民の苦労を忘れ、豪勢さを競ったのでしょう。軍備に凝ったり、兵士の派遣に熱心だったりす人は、最早愚かに人です。やがて時代が、それを明らかにするでしょう。そんなリーダーを選んだ大衆は哀れに見られるようになるでしょう。
伯母の思い出を「自活のススメ」でも紹介しました。本当に優しい人は、「魚の生態を教える人」だと私に気付かせたのは伯母かもしれません。母はこの伯母を、当初は怖がり、やがて嫌いになっていました。
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妻を迎えた玄関です。風除室で仕立てていた吊り鉢の掃除をして、デビューさせました。

こんなズッキーニが採れました。横にあるのは九州で買った好物のトビウオの干物、アゴです。アゴがジャコに見えるほど大きなズッキーニです。残念ながら、後は大雨で腐りましたが、ズッキーニの作り方が分かったように思います。トウモロコシをカラスに襲われ、キュウリは雨で全滅です。根腐れでしょうか。

地図を描き直した道案内版です。1986年の春に造って取り付けていましたが、ペンキが褪せていましたから、妻の留守中に地図を描き直すことにしたわけです。