ご夫婦のブティック
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ご夫婦のブティック。京都の堀川通りに面した、晴明神社の近くにあるビルの一階にある「ペンステモン」という名称の店です。 ウイリアム・モリスがこのブティックの品々を見たら、とても感動したことでしょう。それはモリスが理想としていた社会が生み出した品々と同じ類の品々であるからです。 実は、モリスが活動していた頃のヨーロッパではジャポニスムが起こっています。それは日本趣味と訳されたりしていますが、「もっと奥の深いもの」を含んでいます。浮世絵などを通して江戸時代の日本や日本人の生活を見て、そこに理想を見出していたからです。庶民が根付や櫛などの日用品を創造的に生み出し、日常の生活を芸術化していたからです。 今日では、江戸時代が循環型社会であったことなども知られるようになりましたが、熱心なジャポニスムの信奉者であったモネやゴッホなど印象派の人々の感受性は、その本質を見抜いていたに違いありません。その本質とは、千利休が付加しようとした新しい価値を庶民が生み出す社会の、つまり創造的な社会のエネルギーでしょう。 ちなみに、モリスが打ち出した運動をきっかけとしてヨーロッパでは生物的な曲線や曲面で構成されたアールヌーボーが生じており、やがて直線や平面を多用したアールデコに移行します。そうしたモダニズムに柳宗悦は大きな刺激を受けたわけです。 |
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