結果的には最高の天候

 

 結果的には最高の天候。東京の年間降雨量は1500m程度ですが、ミルフォードトラックのあたりは6200mを超えます。なのに訪ねたときは10日ばかり好天が続いていたのです。だから豊かな森林の地面や岩だけでなく樹皮などにも張っているコケが乾き切っていましたし、水の切れた滝がたくさんありました。ところが、1000mを超えるマッケイ峠に挑む前日の午後から雨が降り出し、夜を通して降った雨が朝も残っていたのです。

 バンバンに張った足を気にしながら防水に万全を期し、峠を目指して歩き始めました。コケが見違えるように青々となっており、落差580mのサザランド滝はもとより、雨が降っていなければ枯れていた滝がよみがえり、さわやかな音を響かせていました。それだけに、滑らないようにストックと両足を運ぶのに緊張し、その歩みは今も思い出すぐらいにさせています。