ホームビルダー

 

 ホームビルダー。マオリ人の多くはカーペンターと呼ばれる大工さんとして生計を立てる事例が多かったようですが、いまではビルダーと呼ばれています。家屋の基礎作り、屋根ふき、水周り工事、壁塗り、壁紙張り、樋つけ、ペンキ塗りなど、すべてを1人でこなしてしまいます。規格化された素材や使いよい素材だけでなく、樋や建具などさまざまな半完成品が普及し、家作りが組立作業の観を強くしたような一面があるからでしょう。

 ビルダーの1人であるレイさんの車を覗いたときに、私はほくそえんでしまいました。レイさんは引退し、年金で生活できる身になっていますが、自分の家や息子や知人の家の補修などには喜んで手を貸しています。だから今も、現役当時の道具を一式積み込んでいたからです。それは見覚えのある風景でした。

 私は今、1人の青年に期待を寄せています。新しい大工さんを目指すように勧めている青年がいる、とかつて述べたことがある人のことです。これからの時代が求めるであろう人のモデルになるべきだ、と勧めたのですが、NZではすでに「そうした技術者の時代」なっていたわけです。建築デザイナーの設計図に従って大工部分を受け持つ人にとどまらず、自分の頭で一軒の家を生み出し、メインテナンスも創造的に受け持つことが出来る技術者です。



レイさんの車
若手大工さんの軽トラック