NZ人の美意識や価値観

 

NZ人の美意識や価値観。日本で言う中学校の社会科の時間で、教師は生徒に「ワンタンギ条約が結ばれていなかったら、今頃はどうなっていたでしょうか」といった質問を出して授業を始めたりするようです。特定の答えがない質問ですから、意見百出です。しかし。近頃は中国人や韓国人の生徒が増えているのですが、彼らは黙ってじっと聞いているだけだそうです。

その後で、教師は「ワンタンギ条約は何条からなるか」とか「いつ締結されたのか」といった質問をするそうですが、そうなると一番に手を挙げるのは韓国人で、NZ人の生徒は沈黙だそうです。調べればすぐに分かることを競って記憶する気や、記憶する意義を感じていないからです。どのようは考え方が出来る人か、考え方があるか、に勝ちを見出しているからです。

こんな話もありました。ルートバーンという散歩道で、かつて専門家の忠告を無視してイスラエルの2人の青年が軽装で出かけ、案の定、雪に降られて遭難しました。NZでは、遭難者の救援は国家が国家予算で行うそうですが、このときは専門家の忠告を無視した人まで税金を使うべきか否かで大騒ぎになったそうです。だが今も、国の責任で救援をする方針は変更していないとか。ただし、ルートバーンの山小屋には、当時の新聞記事が張り出してあるようです。

この話の裏を取りたくて、ガイドに質してみました。彼は知りませんでしたが、次のような話を聞かせてくれました。ミルフォードトラックで洪水が生じたときのケースです。ガイドにつきのトラッカーは無料でヘリコプターによる救難を受けられます。独自で入る許可を得て入ったトラッカーも同様の救難を受けられますが、1人80ドル負担しなければならないそうです。

NZ人にも質問をしましたが、ルートバーンの例は知らず、ヨットマンの似た話を教えてくれました。フランス青年が、専門家の助言を無視して船を出して遭難する事態を2度も繰り返した。2度とも国が救難している。だが、3度目のとは、自費による救難になるとの警告を無視して出かけており、このときの遭難は自弁させられている。

このNZ人は、逆に私に質問をしました。かつてイラクで3人の日本人青年が捕まり、殺されかけた一件です。どうして日本では自己責任論が出たのか、青年の親たちはなぜ世間に対して詫なければならなかったのか、との質問でした。どうしてこんな古い話を持ち出したのか聞きましたが、この一件はNZで大ニュースになったそうです。日本国家のあり方に対する疑問の声、国民に対して「こんな酷い国家があっていいのか」との声や、日本人の個人の独立性に疑問を感じる人の声が沸きあがっていたというのです。