国家はなってないなあ

 

 あろうことか、ハンセン病患者にたいして、かつて国立ハンセン病療養所が断種や堕胎を強制していたことが公文書で判明した、というのです。妊娠9ヶ月の人も堕胎の対象であったとか。朝日は同日の夕刊(写真)で小さく報じました。

 たしか、小泉内閣になった早々に、ハンセン病患者にたいして詫びを入れ、国民から高い評価を行け、小泉人気を高めていたように記憶しています。その詫びは、国家がハンセン病患者にたいする差別を解いてこなかったことにするものであったと記憶しています。

 その折に、どうしてこうした人権侵害まであったいたことを一切合財明らかにして、詫びておかなかったのでしょうか。私もハンセン病を伝染病と誤解していましたから、関係者であれば結婚の条件として断種や堕胎を強制したり強制されても受け入れたりしていたことでしょう。だから、一切合財を明らかにして国家が詫びていたら、無知が問題であったと理解して受け入れたり救われたりしていたにちがいない、と思います。もちろん新たな事実が出てきたら、もう一度国家は詫びたくなるでしょうし、それで許されてしかるべきことだと思います。

 そうしたことを繰り返すことで、主権在民の政治であることを明らかにしてゆけば、国民の間で嫌が上でも国を愛する心が高まるのではないでしょうか。そうした努力を積み重ねずに、法律で愛国心を強要しようとすると逆効果になりかねず、心配です。

 このたびの記事は、そうでなかったことが、つまり許されてしかるべきことではなかったことを暴いたたような印象を私は受けました。だから日本の国はなってないなあ、と思いました。もちろん、この判断は早計で、国家には不正直という悪意はなかったのかもしれません。それは、小泉さんが烈火のごとく怒るか否かである程度推察できるのではないでしょうか。人権侵害があったことを総理が知らされていなかったとしたら、知らされて当然であったと烈火のごとく怒って欲しいと思います。