早晩工業社会は破綻

 

 工業社会の人口は、アメリカやEUや日本などの11億人、それは地球人口の2割にすぎません。しかしその2割が、アメリカが広めた生き方に倣いがちで、毎年世界が産出する資源の8割と食糧の5割を消費しています。つまり、世界中の人がアメリカ人の生き方を真似たら1年で地球がパンクしかねない生き方をしているわけです。

 他方、人口13億人の中国が今や猛烈な勢いで農業社会から工業社会への転換を試みています。10億のインドもこれに続いています。農地を、工場やレジャー施設、あるいは団地や道路用地に転用しています。

 その中国で、ものすごい貧富の格差をはじめとする問題が生じています。たとえば、観光地の束河村では「麻婆豆腐」は一皿5元75円ていど、「木耳妙肉」という肉の入った料理は10元150円ていどですが、観光地化していないところはもっと安いことでしょう。他方、日本人客も増え始めた大理古城では、マッサージ代は200元3000円。「麗水金沙」のショーは160元約2500円。つまり、地方での外食は日本の十分の一程度、都会化したところでのマッサージなどは日本並みになろうとしている。

 農業社会を色濃く残すところで稼いだお金で、工業社会化したところで心地よく過そうとしたら大変です。大理古城で2時間の「麗水金沙」を見ようとすると、束河村で32皿の「麻婆豆腐」を売り、その代金をすべて費やさなければなりません。

 農業社会の人々の目には、不公平感もさることながら、工業社会は麻薬か癌のようにも見えかねません。人を酔わせて、あるいは人の心に巣くって、個人を破滅させかねないだけでなく、地球までパンクさせかねない勢いで蔓延する癌か麻薬に見えかねません。