疑問や不安を抱き始めた人

 

 アメリカにも工業社会に疑問を抱き始めた人が大勢居るようです。工業社会が蔓延させる浪費生活や拝金主義にくたびれている人も居るのでしょうか。200年来変わらぬ自給自足生活を守っているアーミシュ村(ペンシルベニア州のランカスターを中心に15万人からの人が多くのカウンティーに分かれて住んでいます)を、毎年500万人(6年以上前の数字です。ブッシュが大統領になってから私はアメリカに危険を感じ、訪ねていません)もの人が見学に押しかけていました。異なる価値観や美意識の下に悠然と生きるアーミシュの生活を(アーミシュの生活を乱さないように)垣間見る観光ですが、啓蒙される人が大勢いるようです。

 アーミシュについては『このままでいいんですか』で2章を割いて触れていますし、『次の生き方』でも取り上げています。とても清潔な生活をしており、これなら真似られそうだと思う人が少なからずいるに違いありません。地球上のすべての人がアーミシュに倣ったら地球はそう遠くない将来復元することでしょう。元陽の棚田村の少数民族に倣ったらもっと早く地球を復元できそうですが、それは相当追い込まれても真似にくいのではないでしょうか。

 実は私は、資源小国の日本はアメリカの主流の部分、つまり工業社会に倣うのではなく、その一端に過ぎないアーミシュや元陽の棚田村にヒントを得て、世界中の人に真似てもらえる「次の生き方」を編み出し、移行して見せ、啓蒙すべきだと考えています。同様に、中国には、工業社会を飛び越えて「次の生き方」に移行してもらいたいものだと願っています。それがテロを無縁にする秘訣でもあるように思っています。

 ブッシュは911のときに「文明に対する攻撃だ」と言明しましたが、その原因と見た文明を見直さずにイラクを攻撃しました。その後、それがいわれなき因縁をつけた攻撃だったと分かった後も、「よその人に言われてやめるわけにはいかない」とばかりに侵略の手を緩めず、問題を深刻化させています。それではテロは増えこそすれ、減ることはないでしょう。