3人の友が書物を

 

 黄色い1冊は、高校時代の同窓生が大学の講師を引き受けるために作った冊子です。水尾での同窓会の帰途、話題に出ましたから送ってもらったのです。4時間にわたって笑い転げさせてもらった張本人で、柔道では常連の国体選手でした。有名合繊メーカーに勤め、定年後を愉快に過しています。

 他の2冊は、東京の2人の友の手になるものです。素敵なイラストの1冊は、石油会社の社長などを歴任しながら続けた趣味の芸術活動を振り返ったいわば記録です。多くの作品が写真で収録されていますが、『夜のタイムス・スクエア』や『ウオールストリートの印象』の絵にしばし目を奪われました。私はタイムス・スクエアを訪れるたびに、馬鹿に賑やかなのに寂しげな雰囲気を感じていましたし、後者には砂上の楼閣を感じていました。砂上の楼閣はやがて崩れるに違いありません。

 残る1書は、企業を取り上げた名著で知られる新聞社に勤めていた友で、接してきた広報マンを題材にしたようです。その任にある者は、きっと誰しもが、会社をブッ潰しかねないような事実を隠し持っていたはずです。私はアパレル時代に広報の責任者も務めていましたから、その意味からも興味津々です。

 この3人をはじめ、私の友は、いずれもが定年後を生き生きと過しています。