縄文が消えた

 


 近年は、縄文人が世界に例を見ない土器を生み出していただけでなく、品種改良した栗の木の林をもうけるなど優れた文化を育んでいたことや、縄文人が日本の先住民であり、アイヌ人や沖縄の人たちほどではないにしても、私たちもその血を引き継いでいることなどが次第に明らかにされつつあります。こうした事実を(3月11日の当週記で触れた)イギリスのように子どもたちに丁寧に教え、歴史観やアイデンティティを心に養わせることが、真に国を愛する心や国を誇りに思う心を育ませるのではないでしょうか。

 イギリスでは、国王が臨終だとのニュースが流れたりすると直ちに街中のあちこちで賭けが始まったりするようです。「2日もつか否か」などを賭けるわけです。不謹慎このうえない話にきこえますが、外国が攻めてくるなどといった事態が生じると憤然と立ち上がり、国を守ろうとするというのです。だからヒットラーも敗退を恐れて上陸作戦を展開できなかったとか。イギリス人は強制されて国を守らされているのではなく、国民として独自の意志で国土を守ろうとする、というのです。それが真の国を愛する心だと思っているようなのです。この是非は私にはとうてい判断が付きません。

 それはともかく、こうした事実を割愛しつづけていると、心に不透明感を残し、矛盾が次第に露呈し、疑問やわだかまりを抱かせかねず、井の中の蛙のようになりあうだけで、心底から国を思う心を育めなくなりそうで心配です。住人の創造性が国の繁栄を左右するといわれているこれからの時代を乗り切る上で、私たちはとても大事なところに差し掛かっているようです。

 本当に美しい国にしたいものです。