本当に美味しいモノ

 

 海詩は丸田のレモンがよほど気に入ったのでしょう。海詩のお爺さん(私が神戸で勤めていた頃に出来た友)のニュージーランドの家にもレモンの木があります。丸田のレモンと同様に、単なる有機栽培ではなくオーガニック栽培です。農薬や化学肥料などを一切用いず、しかも路地栽培です。つまり地球に一切負荷をかけずに育てたレモンです。その味に慣れている海詩には丸田のレモンの値打ちが分かったのでしょう。

 でも、笑えぬ事実にも目を向ける必要があります。写真のようにオーガニック栽培だと、気候の変動や害虫に襲われるなど、姿を不均一にしたり、肌を荒らしたりしかねません。もちろんそれが、動物が蚊や病原菌に襲われて抗体を作って強くなりながら育つように、農作物を強くし、それだけ優れた成分も内包させることになるはずです。それが本来の姿です。

 わが家はオーガニック栽培の何たるかを知っていますから、無選別で送ってもらえたのでしょうが、オーガニック栽培の場合はこれで当たり前です。でもオーガニック栽培の何たるかを知らない人には逆に心配させかねません。だから、わが家では、操作をしています。

 オーガニック栽培の何たるかを知らない人には一般的なレモンと同様に、オーガニックレモンも皮を剥いて出します。一般的なレモンは表皮についた農薬を取り除くために剥きますが、オーガニックレモンは見掛けの悪さを隠すために剥きます。それで見掛けは同じようになり、中身の良さに気付いてもらいやすくしています。

 海詩は幼子のセンス、動物としてもって生まれた感覚がまだ鈍っていない上に、両親の考え方やニュージーランの風土に支えられ、本当に美味しいモノを見抜くことができるのでしょう。