高校生を対象とした大学受験準備用の小論文教材に用いられ、学習のポイントを示した解説や、理解度を試すテスト問題・解説・採点講評等の素材文として生かしてもらえることになりました。
この拙著ではこの部分にとても神経を払っていますが、その頃のことを思い出し、この部分を選んでもらえたことをとてもありがたく思いました。まず、焼畑や民族衣装、土偶や民族舞踊が文化現象だからといって、すべての焼畑や衣装、彫像や舞踏、音楽や絵画を文化現象として片付けてはいけない、文化現象としてのそれらもあれば文明現象としてのそれらもある。その峻別がたいせつだ。さもないと循環型社会に心地よく移行できないだろう、と考えているからです。
次に、学長時代を思い出しました。学長にとって受験対策は1つの重要課題ですが、私には十分な知識識見がありませんでした。そこで3つの方針を明らかにするだけで、あとは教員に委ねました。@最も知識識見に優れた人を選任する。A若者が真剣に取り組む時間ですから、知らぬ間に「希望や勇気を湧きあがらせる内容」であり、深く理解し記憶することが「生涯に有効に働く内容」を選ぶ。そして、B何か問題が生じたら「私が責任を取る」覚悟、でした。
とりわけこの一文は、学生への選別も兼ねてしたためましたから、先年の受験問題への引用以上に、不特定の学校の高校生の目に触れるこのたびの引用をありがたく思いました。
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