賃金労働者

 

 古代の奴隷は鎖を切って逃出すことを夢見ていたことでしょう。中世の農奴も、領主があまりにも思い上がれば、田畑を捨て、山間に逃込んで生きることに希望をつないでいたに違いありません。かくして、中国では山間で隠れ住む少数民族が生じたので少子、わが国でも平家の落人村などが出来たのでしょう。

 問題は今日の工業社会における賃金労働者です。一人でも生きられると錯覚しがちになっていますが、どんなに世の中が嫌になっても山の中に分け入って新天地を切り開く勇気が湧かないのではないでしょうか。コンビニがないだけで生きてゆけない人さえいるのではないか。だから、ホームレスになっても都会から離れられず、リストラされただけで自殺に走る人さえ生み出してしまうのかもしれません。