旅行中に、わが国は記録破りの猛暑に襲われており、京都や大垣も例外ではありませんでした。わたしは雲南省の亜熱帯地域に出かけ、バナナだけでなく、芭蕉やメンショウの実まで味わったのですが、その地での体験に触れました。最も暑い日でも26度に過ぎなかったのに、「汗が油になる」といって騒いでいたのです。もちろんその頃、中国のはるか北にある北京などの都市は猛暑に襲われていたようです。亜熱帯の涼しさと北方の都市の猛暑の差はどうして生じるのか。それは、樹木の被覆率とか舗装率の差や、水田など農地の有無、あるいはコンクリート構造物とか自動車の多寡などが影響しているに違いないと睨み、挨拶に盛り込みました。
大垣市は河川や水田に恵まれた水都です。これに加えて樹木の被覆率を高めると、とても過しやすい環境に出来るに違いありません。未来世代のためにも、緑化に一段と力を入れようではありませんか。と呼びかけました。また、大垣市も市町村の合併を進めましたが、この面でも未来世代に感謝される配慮が求められます。都市化の是非を慎重に見極め、水と緑に恵まれた生活空間を維持することこそが、つまり生きとし生けるものが自立して持続的に生き続けられる生活空間を保ち続けることにこそが、未来世代に対する現世世代の大切な責務ではないか、と訴えたかったわけです。
素晴らしいエピソードがありました。午前中は、合併した地域だけでなく、旧市内の工場跡地の視察などもさせてもらいましたが、その折に心を打たれるエピソードに触れたのです。着実に植栽被覆率が増していましたが、その陰で払われていた市職員の努力に心を打たれたのです。大型小売店などの新規出店には植栽義務を付していますが、着実に守られていたからです。条例では、義務を守らなくても罰金で済まされるのですが、しかもその罰金額は植栽経費よりはるかに少なくて済む金額ですが、きちんと植栽されていたのです。
条例では、罰金だけでなく、守らなかったことを公表できることにしていますが、この公表権を見事に運用したわけです。公表は義務ではありませんから、市職員が罰金で見逃し、公表しようとしていなければ、植栽義務は有名無実のようなもとになっていたに違いありません。市職員の公益を思う心にとても心を打たれました。
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