「アメリカ 魂の古里 ブラックヒルズ」

 

  20日木曜日8時過ぎ、NHKーTVのBS2で偶然に見た番組です。スー族、クレージー・ホース、ゴーストダンス、カスター中佐など聞き覚えのある名称が次々と登場しました。スー族は、西部劇ではどう猛な悪役でした。

 ブラックヒルズは先住民の聖地で、侵略者の白人は先住民と不浸食の協定を結んでいました、だが、金鉱が発見されたのです。これが悲劇の始まりでした。浸食者は交渉では意向に応じようとしないスー族を疎んじ、カスター中佐率いる騎兵隊を繰り出し武力で追い出します。

 移住地に向かう途上でゴーストダンスを踊る丸腰のスー族に対し、さらなる武力を行使して虐殺しています。こうした浸食者のやり方にたまりかねたのがクレージー・ホースと呼ばれた先住民の英雄でした。今から100年余り前のことです。

 もちろんこれは、短い番組から汲み取った物語の骨子ですから、浸食者から見ると自己正当化するための細かい異論があることでしょう。それはともかく、かくして浸食者は侵略に成功し、金鉱脈だけでなく先住民と不浸食協定を結んだ大地まで奪い取ってしまい、挙げ句の果ては国土まで盗み取り、今もそのままになっています。

 いずれにせよ、先住民の人格を無視してその土地に踏み込むようなことをしていなければ、異論に苦慮する必要はないわけです。それは南京事件でも同じことでしょう。

 こうした過去の精算の仕方がこれからの課題でしょう。誰も元に戻せとは言わないでしょうが、それだけに非の認め方が問われる時代になるのではないでしょうか。