干天続きの後で突然1時間に50mmといった集中豪雨が降ることが増えたようです。それは、わが家の3反強の庭(約3000平方m、50年ほど前までは貧しい農家を3反百姓と呼んでいた)
でさえ、150トン(3000平方m×0.05m=150立方m)の雨が降ったことになります。
都会でいえば、1軒当たり30坪の家屋が100軒集まっている町があったとして、そこに1時間に50mmの雨が降ったとすれば、水量約500トンの雨が降ったことになります。都会は舗装が進んでいますから、その水はすべてマンホールに集中します。だから、いつ洪水になっても不思議ではないことが世の中になってしまったわけです。
そこでわが家では、この水を有効利用するために舗装をせず、随所で落ち葉を積もらせており、土中に浸み込ませるようにしています。さらに、今年の渇水は異常だと感じましたから渇水対策を採用し、台所や洗面所などで出る排水をバケツに溜め、庭に撒くようにしてきました。その後、異常な大雨が降り、渇水対策をむなしく感じさせましたが、渇水対策を中断しないように妻にもいいつけ、バケツに溜めた生活排水を私が庭に撒き続けています。それは地表を常に湿らせておくようにしたいからです。
湿った土の上に降った雨は、土の中に浸み込みやすいのですが、乾いた土は水をはじく性質があります。だから、カラカラに乾いた大地に急に大雨が降ると、水が土に浸透する暇を与えず、次々と表土をめくり取りながら流れ去ってしまいます。
その悪循環が生じ始めているのです。つまり、しょぼしょぼと降り始めて大地を湿らせるような雨が、適度な間隔で降れば、土は雨を吸い取って地下水にするのですが、そうした雨ではなくなった。干天が続き、カラカラに乾いた大地に、豪雨が降るパターンになった。年間を通してみると同じ降水量であれ、地下水になる量で見ると大きな差が生じている。
わが国は傾斜がきつい国土ですから、こうしたパターンを放置していると、豪雨のたびに表土がはがされ、急激に土地は痩せ、地下水が減ってしまうことでしょう。舗装が進んだ都会では、洪水が常態化しかねない地域を増やしかねないでしょう。
日本が良かれと思って山々や水田に施した政策(植林や減反の政策)が裏目に出始めたわけです。広葉落葉樹に変えて針葉樹の山を増やしましたし、また生きた水田を減らしましたが、それは上流に降った雨を地下水にするなど留めおかさせず、舗装の進んだ低地に捨て去らせる構造になっていたわけです。いわば日本は国策として、国土を疲弊させる国家になっていたわけです。つまり、自動的に上流部の田畑を痩せさせ、水害が起こりやすい下流部に人口を集積させて危機に陥れてきた。それをよかれと考えるところにも1つの人間の弱点を見出す思いがしないでもありません。やがてこの不安が科学的に明らかにされるでしょうが、歯がゆいことです。
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