その5分を割けなかった

 

 わが家から大通りまで車ででるのに苦労をする時期でした。ですから、病院への見舞いはいらない、といったのですが、妻は毎日訪ねました。にもかかわらず、5分間の手間で救えたヤーコンの葉など、霜に弱い作物を犠牲にしていました。

 昔の私なら、それを叱ったはずですが、歳のせいでしょうか叱りませんでした。逆に不憫に思いました。ぼつぼつ私も、(船頭)だけでなく、わが体(乗り合わせた船)も守るようにしないと、妻に不安を与えかねない弱虫になってしまったのだと、わが身も不憫になったのです。厄介なことです。