ある懇親会
 

 懇話会は講演と懇親会から成り立っていましたが、講演者は竹中平蔵さんでした。世の中の小泉・竹中批判をとても意識した論旨でしたが、私にとってはとても参考になる一面がありました。グローバリゼーションに巻き込まれる国際競争のはかなさに論理的裏付けをしてもらえたような気分になりました。

 日本がそのはかなさの矢面に立たされていることも分かりますが、その半面で、そこに危機感を覚え、国家戦略を立て、国民をあおったとすれば、太平洋戦争の二の舞になりかねない、との不安に駆られました。経済戦争という、もっと責任の所在がはっきりしない問題に国民を巻き込まないでしょうか。何年かのイラク戦争で、アメリカは4000人からの戦死者を出しましたが、その間に日本は、経済戦争が原因で10万人からの自殺者を生み出していたのではありませんか。

 その原因をなくすこと、つまり渦から脱することが肝要で、その渦の中で勝利を収めようとすることははかないことではないでしょうか。日本は、もっと建設的な道、たとえばグローバリゼーションの非を明らかにして、それに代わるパラダイムの転換にこそ民意を結集させるべきではないでしょうか。

 石油の奪い合いは愚かですし、水の奪い合いは惨めです。そうした争いを不要にするパラダイムの創出こそが、日本に期待すべき過大、日本の生きる道ではないでしょうか。

 太陽の恵みに目を向けるべきです。やがて太陽の時代になる。そう思って5世紀をついやしましたが、その思いはますます強まっています。

 なお竹中さんは、講演では環境問題への言及を控えられたようですから、懇親会の場で立ち話の機会をいただき、それに触れました。その折に、このご意見を講演でふれていただきたかったなあ、と思いました。