アルバーアルトの家具
 

 わが家の贅沢の1つは喫茶店で用いている白木の家具です。来店された建築家などが時々「こんなところで(アルバーアルトに)座れるとは」と感激してくださいます。岡部さんの友人の家具職人は、そうした家具であることをご存知でした。

 このワゴンに至っては、一般的なワゴンを5つも10も買えそうな価格でした。家具屋さんは、見るだけ見てくれ、といって置いて帰りました。2〜3日見ている間に、欲しくなってしまいました。高価な車や贅沢な衣服を購入する人もこうした心境になるのでしょうか。

 柄に似合わず高価で繊細な一面をもった家具を選んだものですから、ひやひやしながら用いています。発注したのは、喫茶店を開くことなどは考えてもいなかったころの話です。やむなく(6人がけのテーブルなのに)引き取りました。でも、荒っぽく用いても結構丈夫なことが分かりました。しかし限界があります。時々補修をしなければなりません。そのつど、妻は面倒な気分にされていたようです。この家具を買ったインテリアショップにとって、補修は面倒なのか、あまりいい気では応じてもらえないようです。

 もちろんこのたびであった家具職人にとっても面倒な仕事でしょう。しかし、どのような顔をした人に、その面倒を見てもらえたのかが分かった方が、妻は頼みやすくなるようです。とりわけ同じ職人に2度3度と直接補修をお願いしている間に、次第に気心が知れあった関係になれそうだ、と期待しているようです。

 時々、妻の人形も補修を求めて送り届けられることがあります。自分で作った人形ですから、妻はむしろ大喜びで補修に応じています。そうした気分を大切にしているだけに、妻はこの家具職人とも、そうした気分を共有できる出会いにできそうだと感じているのではないでしょうか。

 要は、この家具も、減価償却の対象とする消費財とは思えないのです。