ボウダラとカズノコ
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典型的なオフクロの味ではないでしょうか。父は海から縁が遠い内陸の出ですから、ボウダラ、カズノコ、ミガキニシン、メザシ、あるいはチリメンジャコを貴重な蛋白源にして育っています。母は逆に海の近くで生まれ育っており、その両親は朝から刺身に手を出していたようです。その2人が折り合いを付けたのがボウダラとカズノコであったと思います。 母は生臭いものが大嫌いで、生涯を通して背の青い魚に手を出したがりませんでした。父はもとより新鮮な背の青い魚などを食べなれていません。その2人は、生臭くないボウダラとカズノコの味付けに懲り、美味しく食べようとしたのでしょう。母は死の直前まで、両者の味付けにこだわり、カズノコにいたっては正月から夏ごろまで漬けたものを切らしていません。 父と同様に山奥で生まれ育った妻は、背の青い魚などを食べなれなかったそうです。しかも、カズノコの味付けはまったく異なっており、美味しいと思ったことがなかったそうです。しかしいつしか、母のお墨付きの味付けが出来るようになり、カズノコにいたっては私よりも好むようになっています。でもわが家は、小正月あたりで食べ収めにしています。 |